本記事ではOracleのGoldenGateに関する内容を記載していきます。
はじめに - Oracle GoldenGateとは?
Oracle GoldenGate(GG)は、DBデータの複製・統合・転送を低遅延で実現するOracleのソフトウェアです。
主に、以下の目的で使用されます。
- Database(DB)のデータ移行
- DB停止時間を最小限に抑え、なおかつ現行環境に負荷をかけずに実施可能です。
- 特に、大容量DBを短時間で移行する要件があるデータ移行に用いられるケースが多いです。
また、以下の目的でも使用することが可能です。
- 複数拠点にあるデータの統合
- 多対1の構成が可能であるため、散在している複数のDBを統合したい等の要件にて使用可能です。
※GGはDBとは別にライセンスの購入が必要です。
メリットについて
続いてGG導入によるメリットをご紹介します。主に以下の4点があげられます。
- リアルタイムでのデータ連携
- 常に最新データを抽出·転送する仕組みで、低レイテンシ(低遅延)を維持できます。
- 低負荷
- DBに負荷のかかるトリガー等を使わず、REDOログから差分情報を抽出できます。
-常に最新データを小さな処理単位で取得するため、急激な負荷上昇がほとんど発生しません。
-ソース・DBサーバ外にGGインストールが可能です。
- 柔軟性のあるデータ抽出
- 一部のデータや、特定ユーザが所有するデータのみ同期対象とすることができます。
- 異なるハードウェア、DBバージョンでの利用が可能です。
- Oracleに関してはEditionで制限されないため、Standard Editionでも利用可能です。
- ダウンタイムの小さいデータ移行
- 一部のデータや、特定ユーザが所有するデータのみ同期対象とすることができます。
DataPumpとの比較
一般的なデータ移行のツールであるDataPumpと比較すると下表の通りです。
- DataPump
移行元DBからのエクスポート~移行先DBへのインポートが完了するまでの間、データ更新の停止が求められる時間が発生します。
※ ソース・DBのデータ量や、OS性能に左右されますが、データ量が膨大である場合半日を要する場合もあります。

- GoldenGate
データ更新対象の環境を移行元DBから移行先DBに切り替える際に、データ更新の停止が必要ですが、DataPunpと比較するとダウンタイムはかなり縮小可能です。

アーキテクチャについて
GGの構成例としては下図の通りになります。
※ここでは11gのOracle DBから19cのOracle DBへのデータレプリケーションを想定した図としております。
ソース・DBとターゲット・DBにそれぞれプロセスが起動する形になります。

図)GG 構成例
次に、各GGプロセスやファイル、GGの動作に関する詳細を記載します。
- 各プロセス、ファイルについて

- 動作について
下記の流れでソース・DBシステムからターゲット・DBシステムへのデータ連携が行われます。
<ソース・DBシステム>
- Captureプロセスによって、ソース・DBシステムの変更情報がTrailファイルへ出力されます。
- Data Pumpプロセスによって、Trailファイルからソース・DBシステムの変更情報が取得され、ターゲット・DBシステムへ変更データが送られます。
<ターゲット・DBシステム>
- Collectorプロセスによって、送られてきたデータが受けとられターゲット・DBシステム側のTrailファイルに変更情報が書き込まれます。
- Replicatプロセスによって、Trailファイルの情報からSQLが生成され、ターゲット・DBシステムにデータ変更が適用されます。
OCIにおけるGoldenGate
最後に「Oracle Cloud Infrastructure GoldenGate(OCI GG)」について紹介します。
OCI GGによって、マネージド・サービスとして、GGの機能を利用することができます。
大きなOCI GGの特長を下記にまとめました。
- 多くの機能を簡素化・自動化した形で利用可能
クラウドサービスならではの利点としてもあげられますが、オンプレミスで手間のかかる作業を自動化・省力化できます。
- 構成:手動でのインストールが不要です。ほとんどのステップをGUIベースの作業で簡潔でき、オンプレミスと比較して少ない手順でのデプロイが可能です。
- スケーラビリティ:ダウンタイムなしでCPUのスケールアップ可能です。
- 運用オーバーヘッドの削減:パッチ適用など、運用や管理の自動化が可能です。
- 従量課金制
オンプレミス版と異なり、OCI版の利用料は従量課金制です。価格体系は下記のように全く異なります。
オンプレミスと比較してOCIでは低コストでGGを利用することができます。
- オンプレミス:Processorライセンス費用とサポート費用がかかります。
- OCI:サービスが使用するCPUの数(/分)に対して課金されます。(=従量課金制)
さいごに
本記事ではGGの概要とアーキテクチャ、OCI上のGGについてまとめてみましたが、いかがでしたか。
GGへの理解を深めるきっかけになりましたら幸いです。
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