はじめに
どうも、初めまして。
レックのエンジニア Y.Yと申します。
皆さんは「OCI」というワードをご存じでしょうか。
Oracle Cloud Infrastructureの略でOracle社が提供しているクラウドサービスの名称です。
クラウドサービスと言えば、AWSやMicrosoft Azure、GCPが有名ですが、
OCIについて知らない方もいるかと思います。
今回はそんな方向けにOCIについて解説いたします。
こんな方におすすめ
- エンジニア歴の浅い方
- OCIについて知らない方
OCIとは
OCIとはOracle社が提供する、Oracle Databaseに最適化されたクラウドサービスです。
既にOracle DatabaseやOracle社のアプライアンス製品であるExadataを利用しているシステム、アプリケーションでOracle関連の製品を使用しているシステムに適したサービスと言えます。
セキュリティに力を入れているため、セキュリティとコンプライアンスが厳しい業種のシステムでも使用可能です。
クラウドサービスとは
OCIの説明に入る前にクラウドサービスについておさらいしておきましょう。
クラウドサービスとは、コンピュータリソースやアプリケーションなど、システムを稼働する上で必要な機能をインターネットを通じて提供するサービスのことです。
従来は企業や個人がコンピュータやサーバーを自前で購入し、維持管理する必要がありましたが、クラウドサービスを利用することで物理的なハードウェアを所有することなく、必要に応じてリソースを利用することができます。
クラウドサービスは一般的に、以下のような3つの形態に分類されます:
-
IaaS(Infrastructure as a Service):
- 基本的なコンピューティングリソースを提供します。ユーザーは仮想マシン、ストレージ、ネットワークなどの基盤となるリソースをレンタルし、必要なソフトウェアやアプリケーションを自由に構築できます。
-
PaaS(Platform as a Service):
- アプリケーションの開発、実行、管理を容易にするプラットフォームを提供します。開発者はインフラの管理を意識することなく、アプリケーションの開発に集中できます。
-
SaaS(Software as a Service):
- インターネット経由でソフトウェアアプリケーションを提供します。ユーザーはソフトウェアをインストールする必要がなく、Webブラウザを通じて直接利用できます。
OCIの特徴
クラウドについておさらいしたところで、次はOCIの特徴について紹介いたします。
OCIは、エンタープライズ向けに設計されたクラウドサービスで、特にデータベースや業務アプリケーションの運用に強みを持っています。
主な特徴は以下の3点です。
-
高性能なインフラストラクチャ:
- 高性能なベアメタルインスタンスを提供し、仮想化のオーバーヘッドを排除することで、最適なパフォーマンスを実現しています。これにより、大量の計算処理を行うアプリケーションや大規模なデータベースの運用を実現します。
-
コスト管理:
- コスト計算ツールなどを利用し、コストを容易に管理できます。データ転送やストレージにおいても競争力のある価格設定を提供しています。
-
セキュリティとコンプライアンス:
- セキュリティを最優先に設計されており、堅牢なアイデンティティ管理やネットワークセキュリティ機能を備えています。さらに、業界標準のコンプライアンス要件に対応しています。
OCI固有のコンポーネント
各クラウドには特徴とは別に、そのクラウドでしか提供していない固有のコンポーネント(機能)が存在します。
ここではOCI固有のものについて簡単に紹介いたします。
-
Oracle Autonomous Database:
- 自動化されたデータベースサービスで、自己修復、自己保護、自己管理の機能を備えています。これにより、データベース管理者の負担を軽減し、パフォーマンスと信頼性を向上させます。
-
Oracle Exadata Cloud Service:
- Exadataをクラウドで利用できるサービスで、オンプレミスのExadataに近い高性能なデータベース処理を提供します。特に、大規模なデータベースや高スループットが求められるアプリケーションに適しています。
-
Oracle Cloud Guard:
- クラウド環境全体のセキュリティを監視し、潜在的な脅威を特定して対応するためのツールです。これにより、セキュリティの維持とコンプライアンスの遵守が容易になります。
-
Oracle FastConnect:
- OCIとオンプレミス環境を直接接続するための専用ネットワーク接続サービスです。これにより、高速で安全なデータ転送が可能となり、ハイブリッドクラウド環境の構築を支援します。
OCIと他のサービスとの違い
OCIの特徴について解説してきましたが、ここではOCIと他のクラウドサービスを比較してみます。
OCIは他のクラウドサービスに比べ、実績が少ない、提供可能なサービスが少ないなどの弱みがあります。
しかし、Oracle社の製品(データベースやアプリケーション)を活用しているシステムや、マルチクラウド構成のシステムに対しては強みを発揮できるクラウドサービスとなっています。
項目 | AWS | Azure | GCP | OCI |
---|---|---|---|---|
特徴 |
・世界最大級のクラウドプロバイダーで幅広いサービスを提供 ・グローバルなインフラストラクチャと豊富なデータセンター |
・Microsoft社の製品やサービスと強固な連携が可能 ・エンタープライズ向けソリューションやハイブリッドクラウドを重視 |
・データ分析と機械学習に特化 ・オープンソースプロジェクトとの強い連携 |
・エンタープライズ向けデータベースと業務アプリケーションに特化 ・高性能なベアメタルインスタンスを提供 |
強み |
・圧倒的な市場シェア
・強力な開発者コミュニティとサポートがある |
・Windows ServerやActive Directoryとの連携/統合がスムーズ ・強力なエンタープライズサポート ・既存Microsoftユーザーへのサポート ・ハイブリッドクラウドに対するサポート体制がある |
・データ分析とAI/MLの強力なツールセットがある ・高速なネットワークインフラと効率的なスケーリングが可能 ・コンテナ管理サービス (GKE)が強力 |
・Oracleデータベースや業務アプリケーションの統合がスムーズ ・シンプルな価格設定 ・ハイブリッドクラウド構成を実現する強力なネットワークオプション (FastConnect)がある |
弱み |
・価格体系が複雑でコスト管理が難しい場合がある ・幅広いサービスと機能があるため学習範囲が広い |
・非Windows環境へのサポートが弱い場合がある ・一部のサービスが複雑で設定が難しい |
・市場シェアが小さく実績が少ない ・一部のエンタープライズ向けアプリケーションに対するサポートが弱い |
・市場シェアが小さく実績が少ない ・提供可能なサービスの幅が狭い ・学習資料が少ない |
まとめ
OCIについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
何となくでも、イメージが掴めていただけたら幸いです。
OCIについて詳しく学習したい方は、以下のURLからOracle社が提供しているトレーニング資料(Become an OCI Foundations Associate)を、ご覧いただけると理解が深まると思います。
https://www.oracle.com/jp/education/training/oracle-cloud-infrastructure/
出典:Oracle Cloud Infrastructureのトレーニングと認定資格
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