こんにちは。レックのエンジニアH.Sと申します。前回は「RU適用について」を掲載いたしました。
そのなかで、OPatchバージョンの確認方法についても触れましたので、本記事ではOPatchバージョンを上げる方法について掲載していきたいと思います。

OPatchとは？

OPatchは、Oracleが提供するDatabaseやGrid Infrastructureにパッチを適用するための公式ツールです。
パッチ適用時には、READMEに記載されたOPatchバージョンを満たしていることが必要です。また、Oracleサポート利用時にもOPatchバージョンが最新版となっていることが前提となる場合があります。

OPatchを更新しない場合、パッチが適用できないだけでなく、ロールバックや確認作業が正しく行えず、Oracleサポートを受けられない可能性があります。
そのため、パッチ適用前にはOPatchのバージョン確認やアップデートを行うことが重要です。

OPatchアップグレード方法

1. アップデート前のOPatchバージョンを確認

   ・GRID側

   [grid@node01 ~]$ $ORACLE_HOME/OPatch/opatch version
   OPatch Version: 12.2.0.1.45
   OPatch succeeded.
   [grid@node01 ~]$

   ・DB側

   [oracle@node01 ~]$ $ORACLE_HOME/OPatch/opatch version
   OPatch Version: 12.2.0.1.45
   OPatch succeeded.
   [oracle@node01 ~]$

   
   
   

2. パッチのREADMEで必要なOPatchバージョンを確認

   My Oracle SupportからOPatchの最新版をダウンロードします。
   ダウンロードする際にPlatformとOracleバージョンを確認してください。
   ※適用するパッチによっては、OPatchバージョンの指定がある場合があります。
   
   

3. OPatchのzipファイルを対象サーバにアップロード

   今回は、Teratermの機能の1つであるファイルドラッグ&ドロップを使ったアップロードを紹介します。
   zipファイルの配置場所は以下とします。
   　・GRID：/backup/req/patch_202511/GI
   　・DB ：/backup/req/patch_202511/DB
   
   
   
   

4. OPatchファイルの配置および権限を確認
   

   GRID側はgridユーザ、DB側はoracleユーザに所有者を変更し、ファイルの権限周りも適宜変更します。
   ※下記は一例であるため、所有者と権限の変更は環境ごとに適宜変更してください。
   ・GRID側
   

   [root@node01 ~]# cd /backup/req/patch_202511/GI
   [root@node01 ~]# ls -l ./p6880880_190000_Linux-x86-64.zip
   -rw-r--r-- 1 root root 134583311 1月 14 2025 p6880880_190000_Linux-x86-64.zip
   [root@node01 ~]# chmod 777 ./p6880880_190000_Linux-x86-64.zip
   [root@node01 ~]# chown grid:oinstall ./p6880880_190000_Linux-x86-64.zip
   [root@node01 ~]# ls -l ./p6880880_190000_Linux-x86-64.zip
   -rwxrwxrwx 1 grid oinstall 134583311 1月 14 2025 p6880880_190000_Linux-x86-64.zip

   ・DB側
   

   [root@node01 ~]# cd /backup/req/patch_202511/DB
   [root@node01 ~]# ls -l ./p6880880_190000_Linux-x86-64.zip
   -rw-r--r-- 1 root root 134583311 1月 14 2025 p6880880_190000_Linux-x86-64.zip
   [root@node01 ~]# chmod 777 ./p6880880_190000_Linux-x86-64.zip
   [root@node01 ~]# chown oracle:oinstall ./p6880880_190000_Linux-x86-64.zip
   [root@node01 ~]# ls -l ./p6880880_190000_Linux-x86-64.zip
   -rwxrwxrwx 1 oracle oinstall 134583311 1月 14 2025 p6880880_190000_Linux-x86-64.zip
   

   
   
   

5. OPatchのバックアップを取得

   OPatchのアップデートを行う前に既存のOPatchのバックアップを取得しておきます。
   OPatchの名前がOPatch_oldに正常に変更されているか確認します。
   ・GRID側
   

   [grid@node01 ~]$ mv $ORACLE_HOME/OPatch $ORACLE_HOME/OPatch_old
   [grid@node01 ~]$ ls -l $ORACLE_HOME | grep OPatch
   drwxr-x--- 15 grid oinstall 4096 Jan 9 2022 OPatch_old
   [grid@node01 ~]$

   ・DB側
   

   [oracle@node01 ~]$ mv $ORACLE_HOME/OPatch $ORACLE_HOME/OPatch_old
   [oracle@node01 ~]$ ls -l $ORACLE_HOME | grep OPatch
   drwxr-x--- 15 oracle oinstall 4096 1月 9 2022 OPatch_old
   [oracle@node01 ~]$

   
   
   

6. 配置したOPatchのzipファイルをunzipで解凍

   ORACLE_HOME配下に、OPatchのzipファイルをunzipで解凍します。
   ・GRID側
   

   [grid@node01 ~]$ cd $ORACLE_HOME
   [grid@node01 ~]$ unzip -d ./ /backup/req/patch_202511/GI/p6880880_190000_Linux-x86-64.zip

   ・DB側
   

   [oracle@node01 ~]$ cd $ORACLE_HOME
   [oracle@node01 ~]$ unzip -d ./ /backup/req/patch_202511/DB/p6880880_190000_Linux-x86-64.zip

   ※「-d」はディレクトリを指定して展開するオプションコマンドです。
   
   

7. OPatchの置き換え確認

   ORACLE_HOME配下に、OPatchディレクトリが新たに作成されていることを確認します。
   ・GRID側
   

   [grid@node01 ~]$ ls -l $ORACLE_HOME | grep OPatch
   drwxr-x--- 15 grid oinstall 4096 Dec 23 20:47 OPatch
   drwxr-x--- 15 grid oinstall 4096 Jan 9 2022 OPatch_old
   [grid@node01 ~]$

   ・DB側
   

   [oracle@node01 ~]$ ls -l $ORACLE_HOME | grep OPatch
   drwxr-x--- 15 oracle oinstall 4096 12月 23 20:47 OPatch
   drwxr-x--- 15 oracle oinstall 4096 1月 9 2022 OPatch_old
   [oracle@node01 ~]$

   
   
   

8. アップデート後のOPatchバージョンを確認

   OPatchバージョンがアップデートされたことを確認します。
   ※ 本記事では「12.2.0.1.45」→「12.2.0.1.46」にアップデートしております。環境に応じて適宜読み替えてください。
   ・GRID側
   

   [grid@node01 ~]$ $ORACLE_HOME/OPatch/opatch version
   OPatch Version: 12.2.0.1.46
   OPatch succeeded.
   [grid@node01 ~]$

   ・DB側
   

   [oracle@node01 ~]$ $ORACLE_HOME/OPatch/opatch version
   OPatch Version: 12.2.0.1.46
   OPatch succeeded.
   [oracle@node01 ~]$

まとめ

本記事では、Oracle DatabaseおよびGrid Infrastructure のパッチ適用に欠かせない OPatch のバージョンアップ手順について解説しました。安全かつ確実にパッチを適用するためには、OPatch のバージョン管理が重要です。
この記事が皆様の作業や理解の一助となれば幸いです。