【AWS re:Invent 2025参加レポート~4日目~】Infrastructure Innovations with Peter DeSantis and Dave Brownまとめ
re:Invent 2025開催4日目の本日は、AWSユーティリティコンピューティング担当シニアバイスプレジデントPeter DeSantis氏とコンピュート&マシンラーニングサービス担当バイスプレジデントDave Brown氏によるKeynoteが行われました。
今回のKeynoteではAWSのインフラストラクチャレイヤでの取り組みや新しいサービスのアップデート情報、顧客事例等が発表されました。
まずは、2025年の現在、これからますますAIトランスフォーメーションが加速していく状況において、これまでと変わらなず重要なことが以下の5項目挙げられていました。
- Security
システムを利用する者は必ずしも善者だけとは限らない。いつの時代もクラウドプロバイダの最優先事項はセキュリティである。 - Availability(可用性)
AWS上のサービスを稼働させて続けるというこれまでの積み重ねはこれからも変わらない。 - Elasticity(弾力性)
AIワークロードはここ数年で急激な伸びをみせているが、それに対しても対応できる柔軟にスケール可能な仕組みが必要である。 - Cost
AIには莫大なワークロードが必要となる。これによるコスト増をできる限り抑える投資や最適化をAWSは継続している。 - Agility(敏捷性)
素早く立ち上げ素早く適用する仕組みが企業の迅速なイノベーションに繋がる。
その上で今回の講演では以下のサービスについて注目すべきリリースとして紹介がなされました。
AIワークロードに最適化したプロセッサ開発
AWSではAIワークロードに最適なプロセッサの開発に取り組んでおり、これまでもキャッシュミスを起因としたパフォーマンス問題など継続的な改善を繰り返してきました。
今回もその取組みの結果としてGraviton5プロセッサとEC2 M9g インスタンスがプレビューとして発表されています。
Graviton5
AIワークロードでより高いコストパフォーマンスを発揮するAWS Graviton 5 プロセッサが発表されました。単一パッケージで192のコアを搭載(Graviton4の約2倍)したり、キャッシュ容量を大幅に増加させるなどの改善により処理性能はGraviton4と比較して25%上昇したと謳われていました。
EC2 M9g インスタンス
Graviton 5を搭載したAmazon EC2 M9g インスタンスもあわせて発表されています。(プレビュー版)
キャッシュ容量を大幅に増加させるなどの改善も実施され、従来のM8gと比較してコンピューティング性能が20%増加したと謳われています。
サーバレスの進化
Lambda Managed Instance
2/1に発表されました。東京リージョンでも利用可能となっています。
Lambdaのサーバレスとしての運用上の利便性はそのままに、Lambda関数をEC2インスタンス上で実行できます。これによりEC2同様、インスタンスタイプを指定したり、GPUを利用できたりなどより柔軟なパフォーマンス管理が可能となりました。
・既存のLambdaで実行していたコードをそのまま活用できる。
・インスタンスの管理はAWS側で実施されるため、ユーザ側はこれまでのLambdaと同様コードに集中できる。
・EC2の柔軟で強力なパフォーマンスを享受できる。
・EC2のReserved InstanceやSavings Planを利用できるためケースによってはコスト最適化に繋がる
長時間実行されるワークロードや強力なリソースを必要とするワークロードなどこれまでLambdaでは手の届かなかった処理も実行可能となります。
これに代表されるサーバレスの進化についてはAWS内でもともと別々の部隊だったEC2とLambdaの開発メンバーを同じ部隊として一つにしたことにより、サーバとサーバレスのいいとこ取りをする新しい発想が生まれる素地になったということ、「Serverless」はサーバがないことを意味するものではなく、サーバの管理から解放されることを意味するものだということをDave Brown氏は語っており、印象深いものがありました。
ベクトル検索への対応
AWSではベクトル検索のAWS各サービスとの統合を進めてきました。
従来、多種多様な非構造化データから情報を得るには複数のモデルを組み合わせる必要がありました。この問題を解決するために「Amazon Nova Multimodal Embeddings」という埋め込みモデルを発表していました。これはひとつのベクトル空間にテキスト・画像・動画などまとめてマッピングできる点が最大の特徴となります。
これをベースとしたベクトル検索機能をAmazon OpenSearch Serviceなど各データ関連サービスへ追加・統合されていることが言及されました。その最も注目すべきサービスとしてS3 Vectorsが今回一般提供開始(GA)となったことが発表されました。
Amazon S3 Vectors
テキスト、画像、音声などの非構造化データをAmazon Nova Multimodal Embeddingsでベクトルに変換し、そのベクトルをS3内に保存することができます。そこにベクトルINDEXが作成されることによりS3内にデータを保持したままベクトル検索が可能となります。
またこれまではベクトル近傍領域の計算に大幅なコストがかかるという問題がありましたが、この近傍領域の計算を事前に実施することでクエリ実行時の大幅な性能向上が実現できたということを言及されました。
まとめ
CEO KEYNOTEでも顕著なあっても傾向がありましたが、やはりインフラ分野でもAIワークロードへの最適化を強く意識した講演となりました。
クラウドインフラを長く牽引してきたAWSならでは選択肢の広さ、開発力の高さといったインフラ分野での強みが今後のAIを巡る戦国時代にあってもAWSの力強さを印象づける講演だったと思います。
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