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【AWS re:Invent 2025参加レポート~3日目~】Agentic AI Keynote with Dr. Swami Sivasubramanianまとめ

re:Invent 2025開催3日目の本日は、Agentic AIのVice PresidentであるDr. Swami Sivasubramanian氏によるキーノートが行われました。

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今回のキーノートは大規模なエージェント型AIを本番環境に導入する際の課題と解決策、モデルカスタマイズのための新しいサービスのアップデートや顧客事例、ユースケース等が発表されました。

以下に、キーノート内で発表されたサービスアップデートをご紹介します。

エージェントの構築と運用に関する新機能

Amazon Bedrock AgentCore

AgentCore Policy(昨日発表済み)

エージェントのアクションに対して制御をかけるポリシーを、リアルタイムで設定できるようになりました。これによりエージェントが定義された境界内で動作するため、特定の質問には回答しないなどの制御が可能になりました。

AgentCore Evaluations(昨日発表済み)

エージェントの動作を継続的に監視し、正確性、有用性、安全性などの基準に基づいてエージェントの品質を評価するためのツールです。

Amazon Bedrock AgentCore adds quality evaluations and policy controls for deploying trusted AI agents

AgentCore Memory - episodic fanctionality

エージェントの記憶機能には、会話の流れ(短期記憶)とセッションを超えてユーザーの好みなどを保持する(長期記憶)という従来の区分に加えて、「エピソード記憶」という概念が加わりました。エージェントに過去の経験(エピソード)から学習させ、その洞察をやり取りに適用する長期記憶機能です。これにより、よりパーソナライズされ、個人のコンテキストを理解した体験を享受できるようになります。

New Amazon Bedrock AgentCore capabilities power the next wave of agentic AI development

Amazon Nova Act

UIベースのワークフローを自動化するための信頼性の高いエージェントを構築・管理する新しいサービスで、以下の特徴があります。

ハイ・リライアビリティ:

従来のRPAが抱えていた、UIの変更などに対する脆さを克服し、高い信頼性でエンタープライズのワークフローを自動化します。

エンド・ツー・エンドの統合:

モデル、オーケストレーター、UIアクチュエーター、およびSDKが緊密に統合され、学習済みのエージェントが本番環境で確実に動作することを保証します。

学習環境:

実世界のエンタープライズ環境を再現した「強化学習ジム」で数千のワークフローを試行錯誤することで、エージェントの信頼性を高めています。

Build reliable AI agents for UI workflow automation with Amazon Nova Act, now generally available

モデルカスタマイズに関する新機能

Reinforcement Fine-Tuning (RFT) in Amazon Bedrock

強化学習ベースのファインチューニングがBedrockで利用可能になりました。これにより、専門的な機械学習の知識や大規模なラベル付きデータセットがなくても、高度なモデルカスタマイズを実現できます。

Amazon Bedrock adds reinforcement fine-tuning simplifying how developers build smarter, more accurate AI models

SageMaker AI Model Customization

自然言語でユースケースを説明するだけで、AIエージェントが最適なカスタマイズ手法(RFT、TBOなど)を推奨し、必要なデータセットを自動生成してサーバーレス環境でモデルのトレーニングと評価を自動的に行ってくれるサービスです。

New serverless customization in Amazon SageMaker AI accelerates model fine-tuning

Amazon Nova Custom Foundational Models

Amazon Novaの中間チェックポイントにアクセスし、独自の専有データとAmazonがキュレーションしたデータを組み合わせてトレーニングサイクルに組み込むことにより、トレーニングのコストを抑えつつ、既存のモデル(例:Amazon Titan、Anthropic Claude、LLaMAなど)を活用してカスタマイズできます。

Checkpointless Training SageMaker HyperPod

モデルトレーニングの回復力を大幅に向上させる機能です。障害が発生した場合にクラスターの一時停止やチェックポイントへのロールバックが不要になり、部分的なトレーニングステップから自動的に回復するため、ダウンタイムを短縮し、コストを削減することが可能になります。

Amazon SageMaker HyperPod now supports checkpointless training

まとめ

エージェント型AIに関する事例、ユースケース、新機能など昨日のキーノートをさらに深掘りした内容が発表されました。 また、所謂「PoC地獄」から抜け出して本番環境にデプロイし、実際の顧客体験を向上させるためのサービスが多く発表されており、実用を強く意識した内容となっている印象です。

個人的には、Versaという企業のサービスとAWS AgentCoreを組み合わせて3人のエンジニアが2カ月で開発した税務アドバイザリーAIエージェントが、既に1300の会計事務所に導入されているという事例が強く印象に残りました。

エージェント型のAIの発展により、様々な業務や企業の在り方までも変革する時代が目の前までやってきていることを実感するとともに、我々エンジニアがその変革の最先端にいることをあらためて認識することができました。

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