はじめに
こんにちは。レックのデータベースエンジニアのA.Kです。
Oracle Databaseは、世界中で利用されている信頼性の高いデータベースシステムの一つです。
現在、Oracle Databaseはクラウド(Oracle Cloud Infrastructure:OCI)とオンプレミスの両方で利用可能であり、
どのような環境でOracle Databaseを利用していくかについては、各企業や団体にとって重要な選択となっています。
本記事では、オンプレミスとクラウドでそれぞれの特徴を整理し、どのような用途や組織がどのプラットフォームに適しているのかを紹介します。
1. OCIでのOracle Database運用
1-1. メリット
- 高いスケーラビリティおよび弾力性
- リソースをオンデマンドで柔軟に拡張・縮小が可能なため、負荷の変動にも迅速に対応できます。
※Oracle Databaseの導入方式によって、リソース拡張の際にダウンタイムなどが生じる可能性があります。 - コスト効率
- サーバやストレージ等のハードウェア費用が不要なため、Oracle Databaseの導入コストを大幅に抑えられます。 - 管理の簡素化
- Oracle社が提供する自動化ツールにより、バックアップやパッチ適用、監視が自動化され、運用負担を軽減します。 - 災害および障害復旧
- 複数のリージョンと可用性ドメインを活用した構成で、災害に対する高可用性と迅速な障害復旧を実現します。
※ リージョン:OCIサービスが提供される地理的なエリア
※ 可用性ドメイン:リージョンにおけるデータセンターのことで、1リージョンにつき1つもしくは3つ存在
1-2. デメリット
- カスタマイズの制限
- マネージドサービスのため、ハードウェア等の詳細な調整が困難で、場合によっては自由度が制限されます。 - データセキュリティとプライバシーの懸念
- 高いセキュリティを備えていますが、法規制や機密情報の扱いでクラウド利用が難しい場合があります。 - インターネット接続への依存による可用性リスク
- インターネット接続が前提のため、通信障害が発生した場合Oracle Databaseの利用に影響する可能性があります。
2. オンプレミスでのOracle Database運用
2-1. メリット
- 高いカスタマイズ性
- 自社専用のハードウェアやネットワークを設計できるため、業務に合わせて様々なチューニングを行えます。 - セキュリティとプライバシーの確保
- 十分な運用体制下でデータベースを完全に自社で管理することで、情報漏洩リスクを最低限に抑えられます。 - 既存資産の有効活用
- 既存のサーバやOracleライセンスを活用することで、新たな投資を抑えつつオンプレ環境の有効活用が可能です。
2-2. デメリット
- 初期投資の大きさ
- ハードウェアの購入・設置・保守には莫大なコストがかかり、また、設備更新に伴う継続的な支出も発生します。 - スケーラビリティの制約
- リソース増強には物理サーバーの追加が必要で、OCIのようなオンデマンドによるリソースの即時拡張はできません。 - 管理・運用負荷の増大
- 障害対応およびパッチ適用等を自社で行う必要があり、専門人材による運用体制の整備が求められます。
3. クラウドとオンプレミスの比較ポイント
ここまでご紹介したOCIとオンプレミスのメリットおよびデメリットを比較すると下記の通りになります。

4. まとめ
上述のようにクラウドとオンプレミスには、それぞれメリットとデメリットが存在するため、組織の目的や運用体制によって最適な選択は異なります。
スケーラビリティやコスト効率、運用の自動化を重視する場合はクラウドでの運用が適しています。
一方で、データの厳重な管理やデータベースについての高度なカスタマイズが必要な場合はオンプレミスが適しています。
Oracle Databaseをどの環境で運用するかを検討する際には、
コスト・セキュリティ・運用負荷といった要素を総合的に比較し、自社のIT戦略や将来の拡張計画に最も合致する形で判断することが重要です。
おわりに
Oracle Databaseは、クラウドとオンプレミスのいずれのプラットフォームにおいても高い性能と信頼性を発揮できます。
それぞれの特徴を正しく理解し、各々の組織目標やシステム要件に合わせて最適な形で活用することで、より安定したデータ基盤の構築が可能となります。
本記事が、Oracle Databaseの運用環境選定における検討の一助となれば幸いです。



