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【OCVS Migration】オンプレミス環境からOCVSへのVM移行方法

初めに


インフラ技術部のWです。

前回は、OCVSの概要と特徴について紹介しました。
【OCVS Migration】オンプレミスVMware環境からOCVSへのクラウドリフトについて

今回は、「オンプレミス環境の仮想マシンをOCVSへ移行する方法」を紹介いたします。

OCVSへの仮想マシン移行方法


OCVSへの仮想マシン移行方法は、以下の3つがあります。

①HCX(VMware Hybrid Cloud Extension)の利用
HCXとは、VMwareが提供している製品で、オンプレミス環境からクラウド環境といった異なるサイト間で仮想マシンの
移行を
実現できるソフトウェアです。

HCXの特長として、「既存のネットワーク構成(IP/MACアドレス)を維持した状態でOCVSへの移行が可能である」という点が挙げられます。
また、VMware vSphereバージョンがHCXに対応している限り、移行元と移行先のVMware vSphereバージョンに
差異があっても移行ができるため、クラウドリフトのハードルが低くなります。

HCXは、以下4つの移行機能を備えていることで、小規模環境から大規模環境、ダウンタイムの有無など要件や用途に適した
移行方法を選択することができます。

・HCX Bulk Migration
・HCX Clold Migration
・HCX vMotion
・HCX Replication Assisted vMotion(RAV)

②OVFテンプレートのエクスポート/インポート
既存環境の仮想マシンをOVFテンプレートでエクスポートし、OCVS環境へインポートすることで移行を実現します。
3つの移行方法の中でも操作手順が少ないため、シンプルかつ簡単に移行を行える方法です。
但し、仮想マシンのサイズやディスク容量が大きい場合、エクスポート/インポートにそれぞれ長時間を要します。
そのため、移行規模が小さい場合や、サーバのダウンタイムが十分に確保できる場合に適しています。

③サードパーティ製バックアップ製品の利用
以下のバックアップ製品を利用して、OCVS環境へ移行することができます。
・Veeam Backup & Replication
・Zerto Virtual Replication
・Commvault Backup & Recovery

例えばVeeamでは、バックアップからリストアまでの操作をGUIのコンソール画面で行えるため、複雑な操作を要しません。
また、レプリケーション機能やリストア検証機能などの移行ツールを十分に備えており、移行のサポートとなります。
移行の際は仮想マシンの停止を伴うため、サーバのダウンタイムが確保できる場合に適しています。
しかし、移行時に最終差分を複製し、フェイルオーバを利用した移行を行うことで、OVFテンプレートのエクスポート/
インポートと比較をすると、短いダウンタイムに抑えることが可能です。

HCXを利用した移行方法


3つの移行方法の中でも今回は、「HCXを利用した移行」をピックアップして紹介します。
初めに、HCXを利用するには以下どちらかのライセンスが必要となります。

・HCX Advanced
・HCX Enterprise

ライセンスのグレードにより、HCX機能の利用範囲が異なります。

HCX Advanced
HCX Advancedは、OCVSに含まれているため追加コストなしでHCXを利用することができます。
以下の3つの移行方法を使用することが可能です。

1.HCX Bulk Migration
 数分間の仮想マシンの停止を伴う移行方式で、vSphere Replicationを活用して移行処理が行われます。
 ゲストOSのIPアドレスを変更せずに移行を行うことも、移行と同時にIPアドレスを変更することも可能です。
 一度に最大100台までの仮想マシンを同時並行で移行が可能であるため、大規模な移行に適しています。
 しかし、移行前後で仮想マシンの再起動を行うため、再起動を行って支障のない場合に適しています。

2.HCX Clold Migration
 仮想マシンを停止した状態で移行を行う方式です。
 ゲストOSに割り当てられているIPアドレスとMACアドレスを維持した状態での移行が可能です。
 安全な移行を実施したい場合に適しています。

3.HCX vMotion Migration
 vMotion機能を使用して、仮想マシンを起動した状態で移行する方式です。
 ゲストOSに割り当てられているIPアドレスとMACアドレスを維持した状態での移行が可能です。
 同時に複数の仮想マシンのデータコピーや同時のスイッチオーバーは実行できないため、一台ずつの処理となります。
 仮想マシンの停止を許容できない場合に適しています。

HCX Enterprise
HCX Enterpriseでは、上記3つの移行方法に加え、「HCX Replication Assisted vMotion(RAV)」という移行方法を
利用することができます。
※HCX Enterpriseを使用するには追加コストが必要となります。

4.HCX Replication Assisted vMotion(RAV)
 仮想マシンを起動した状態で、複数同時に移行を行える方式です。
 ゲストOSに割り当てられているIPアドレスとMACアドレスを維持した状態での移行が可能です。
 そのため、大規模環境かつ、ダウンタイムが許容できない場合に適しています。

※上記4つの移行方法に共通して、IPアドレスとMACアドレスを維持した状態で移行を実施する場合、
 事前にオンプレミス側のネットワークをOCVS(移行先)に延伸しておく必要があります。

以上がHCXの移行機能の紹介となります。

最後に


今回は、OCVSへの仮想マシン移行方法について紹介しました。

OCVSへの移行方法には「HCXの利用」、「OVFエクスポート/インポート」、「サードパーティ製バックアップ製品の利用」
の3つの選択肢が用意されており、それぞれ「柔軟さ」、「シンプルさ」、「高い操作性」といった特性を持ち合わせて
います。そのため、要件や環境に合わせて移行方法を選択することが可能です。

また、HCXには4つの移行機能を備えており、要件や用途に合わせて複数の移行方法を使い分けできることが、
最大のメリットだと思います。
HCXを利用する場合は、移行機能の要件と制限事項を確認し、移行対象仮想マシンがHCXを利用した移行に適しているか
確認する必要があります。

次回は「オンプレミス環境からOCVSへのL2延伸について」を紹介しますので、是非ご覧ください。

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