今回はPrisma Accessで実施した「認証ルール」の検証内容について解説します。
Prisma Access環境において、ユーザーのWebアクセス時にキャプティブポータルへリダイレクトさせ、Entra ID(旧Azure AD)を用いたMFA認証を強制させるための設定手順を整理しました。
今回の目標
今回の目標は、Webアクセス時にユーザーへ適切な認証(Entra ID MFA)を行わせることです。
前提条件
| ・ Entra IDとCIE(Cloud Identity Engine)の連携が完了していること。 ・ Entra ID側で多要素認証(MFA)が設定されていること。 ・ 端末からGlobalProtectへの接続が正常に行われていること。 |
設定手順
認証ルール適用にあたり、以下のステップで実施していきます。
- 証明書作成
- 認証プロファイル作成
- 認証ポータル設定
- 認証ルール作成
- 復号ルール作成
1. 証明書作成
ユーザーがWebサイトにアクセスした際、認証ポータルへ安全に(HTTPS通信で)リダイレクトさせ、ブラウザ側で証明書エラー(警告画面)を出さずに認証画面を表示・処理させるために必要となります。
まずは、認証ポータルで使用するサーバー証明書を作成していきます。
オブジェクト > 証明書の管理 > カスタム証明書
| 設定項目 | 設定値 |
|---|---|
| Name | test-auth.com_cert |
| Common Name(CN) | test-auth.com |
| 認証局 | 有効化 |
| Subject Alternative Name | test-auth.com |
続いて、認証ポータル通信で使用するSSL/TLS Service Profileを作成していきます。
オブジェクト > 証明書の管理 > SSL/TLS Service Profile
| 設定項目 | 設定値 | 補足・説明 |
|---|---|---|
| Name | test-auth_cert_profile | - |
| Certificate | test-auth.com_cert | - |
|
Protocol Setting (Min Version) |
Tls1.2 | 認証ポータルでは、TLS1.3は利用できないためTLS1.2に固定します。 |
|
Protocol Setting (Max Version) |
Tls1.2 |
2. 認証プロファイル作成
Prisma Accessがユーザーの認証要求を受け取った際、どの認証基盤(今回はCIE経由のEntra ID)を使用して認証処理を行うか、またどのような条件(MFAの制御等)を適用するかを定義するために作成します。
認証プロファイルを作成します。
IDサービス > 認証 > 認証ルール > 認証プロファイル
| 設定項目 | 設定値 | 補足・説明 |
|---|---|---|
| 認証方式 | Cloud Identity Engine | - |
| プロファイル名 | test-auth_profile | - |
| プロファイル | Entra IDと連携しているCIEのプロファイルを選択 | - |
| クラウドで多要素認証を強制する | 有効化 | Palo Alto Networksのクラウド基盤側で多要素認証(MFA)の適用を制御・連携させる設定 |
| 認証可能ユーザ | all | このプロファイルで認証を通す対象ユーザー(今回は全ユーザー) |
3. 認証ポータル設定
ユーザーがWebアクセスを行った際、リダイレクト先となる認証画面(キャプティブポータル)の動作パラメータを制御するために必要となります。
認証ポータルの設定をしていきます。
IDサービス > 認証 > 認証ルール > 認証ポータル
| 設定項目 | 設定値 | 補足・説明 |
|---|---|---|
| Mode | Redirect | 未認証ユーザーのHTTP/HTTPS通信を認証ポータルのURLへ自動リダイレクトさせるモード |
| IPアドレスまたはホスト名 | test-auth.com | クライアントがリダイレクトされる認証画面のFQDN/IP(今回は、Prisma Accessのキャプティブ ポータル リダイレクト IP アドレスに紐づくFQDNを使用しています) |
| Enable | 有効化 | 指定したホスト名/IPアドレスへのリダイレクト機能を有効化する設定 |
| Timeout | 1440 | 認証成功後の認証セッション保持期間(分単位。1440分=24時間 ※認証画面自体のタイムアウトは下部の「タイマー」項目で設定します) |
| Roaming | 有効化 | クライアントのIPアドレスが切り替わった場合でも認証セッションを維持する設定 |
| SSL/TLS Service Profile | test-auth_cert_profile | 認証ポータルのHTTPS通信に適用するTLSプロファイル |
| 認証プロファイル | test-auth_profile | 認証処理のバックエンドとして使用する認証プロファイル |
| アイドルタイマ | 60 | アイドル状態(無通信)が指定時間続いた場合に再認証を要求するタイマー(分単位) |
| タイマ | 60 | 認証処理(認証画面の入力応答)自体のタイムアウト時間(分単位) |
|
インバウンド認証プロンプト用のネットワークポート(UDP)
|
4501 | 認証通知やプロンプト受信等で使用するインバウンド通信ポート |
4. 認証ルール作成
どの通信に対して認証を要求するかを制御するために作成します。
また、認証処理に必要なIdP(Entra ID/CIE)や認証ポータル宛ての通信自体が認証ルールの対象になると、リダイレクトの無限ループが発生して認証が完了できなくなるため、事前に「認証除外ルール」を定義しておく必要があります。
今回はすべてのWeb通信に対して認証ルールを適用させたいため、宛先はanyとしています。しかし、リダイレクト先となる認証ポータルやEntra ID側の認証基盤FQDNは除外させます。
先に認証除外となるFQDNをURLリストで作成していきます。
セキュリティサービス > URLアクセス管理 > カスタムURLカテゴリ
| 設定項目 | 設定値 / FQDN | 補足・説明 |
|---|---|---|
| Name | test-auth_url_list | - |
| Type | URL List | - |
| URL List (登録対象) | apl.se-platform.com | Palo Alto Networks CIE(Cloud Identity Engine)の認証サービスエンドポイント |
| CIEプロファイルのSP Entity ID FQDN | CIEで使用しているプロファイルの「SP Entity ID」のFQDN | |
| *.microsoftonline.com | Microsoft Entra IDのサインイン・認証処理用FQDN | |
| *.msauth.net | Microsoftの多要素認証(MFA)および認証ブローカー用FQDN |
次に、認証除外ルールを作成していきます。
IDサービス > 認証 > 認証ルール > 認証ルール(除外ルール)
| 設定項目 | 設定値 |
|---|---|
| 送信元 (Zone / Address / User) | Any / Any / 自身のGPユーザ |
| 宛先 (Zone / Address / User) | Any / Any / Any |
| サービス | http/https/quic |
| URLカテゴリ | test-auth_url_list |
| Action | 認証しない |
続いて、認証ルールを作成していきます。この認証ルールは先ほど作成した認証除外ルールの下に配置してください。
IDサービス > 認証 > 認証ルール > 認証ルール
| 設定項目 | 設定値 | 補足・説明 |
|---|---|---|
| 送信元 (Zone / Address / User) | Any / Any / 自身のGPユーザ | - |
| 宛先 (Zone / Address / User) | Any / Any / Any | - |
| サービス | http/https/quic | - |
| URLカテゴリ | Any | - |
| Action | 認証する | - |
| └ 認証セッションタイムアウト | 60 min | 認証成功後に認証状態を維持する期間(認証ポータルの「Timeout」と重複する項目であり、設定値が短い方が優先適用されます) |
| └ 認証プロファイル | test-auth_profile | 条件に合致した通信の認証に使用するプロファイル |
5. 復号ルール作成
暗号化されたHTTPS通信(Port 443等)の中身をPrisma Accessが読み取り、認証ポータルへ正しくリダイレクトさせるにはSSL復号(SSL Forward Proxy)が不可欠となります。ただし、認証基盤(IdP)宛ての通信は証明書検証等でエラーとなるのを防ぐため、復号除外に設定します。
復号ルールと復号除外ルールを作成していきます。
まずは、復号除外ルールを作成していきます。
セキュリティサービス > 復号(復号除外ルール)
| 設定項目 | 設定値 |
|---|---|
| 送信元 (Zone / Address / User) | Any / Any / 自身のGPユーザ |
| 宛先 (Zone / Address / User) | Any / Any / Any |
| サービス | Any |
| URLカテゴリ | test-auth_url_list |
| Action | 復号しない |
次に、復号ルールを作成します。この復号ルールは先ほど作成した復号除外ルールの下に配置してください。
セキュリティサービス > 復号
| 設定項目 | 設定値 |
|---|---|
| 送信元 (Zone / Address / User) | Any / Any / 自身のGPユーザ |
| 宛先 (Zone / Address / User) | Any / Any / Any |
| サービス | http/https/quic |
| URLカテゴリ | Any |
| Action | 復号する |
| └ 復号化プロファイル Type | SSL Forward Proxy |
| └ 復号化プロファイル | best-practice |
まとめ
今回はGlobalProtect接続環境下において、Prisma Accessの認証ルールおよび認証ポータルの設定検証を行いました。
検証を通して、リダイレクトループを防止するためのURL除外定義が必要不可欠である点に気付くのが遅れ、少し手間取ってしまいました。
今回はGlobalProtectに接続済みの状態で認証ルールを適用させましたが、GlobalProtect接続時はクライアント側ですでにユーザー識別が行われています。そのため本来のユースケースとしては、境界ファイアウォールやRemote Network(拠点接続)環境など、「ユーザー認証がまだ完了していないIPベースの通信が発生する状況」において、認証ルールによってキャプティブポータルへ誘導し、動的にユーザーマッピングを行うための機能であるように感じました。
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