【Oracle AI World 2026現地参加レポート⑫】1秒未満のRTOとデータ主権を両立する「Oracle Globally Distributed AI Database」
こんにちは、DB技術統括部のA.Kです。Oracle AI World 2026の現地からお届けしています!
本記事では、3日目に聴講した野村総合研究所(NRI)様とOracleによる共同セッションの模様をレポートします。
セッション名:Customer Success: NRI-CaaS on Oracle Globally Distributed AI
スピーカー:大塚 紳一郎 氏 & Wei Hu 氏

課題:グローバルサプライチェーンにおける「データ主権」の壁
自動車産業をはじめとするグローバルなサプライチェーン(Catena-X等)では、世界中の拠点・サプライヤー間でデータ共有やトレーサビリティの確保が不可欠です。
しかし、障害発生時の原因調査や分析のためにデータを一元管理しようとすると、各国の「データ主権(データレジデンシー)」や法規制の壁にぶつかります。データを物理的に特定の国やデータセンター内に留めつつ、グローバル全体でのアクセスや低遅延な運用をどう両立させるかが大きな課題となっていました。
解決策:NRI-CaaS × Oracle Globally Distributed AI Database
この課題に対する解決策として紹介されたのが、マルチクラウド・マルチリージョン環境にまたがる「NRI-CaaS(Connector as a Service)」です。
NRI-CaaSでは、バックエンドの基盤として Oracle Globally Distributed AI Database を採用しています。
- 単一論理データベースによる構成
Beijing(AWS)、Frankfurt(OCI EU Sovereign Cloud)、Ashburn(OCI)、Hong Kong(AWS)といった、国やクラウドベンダーが異なる環境(マルチクラウド/ソブリンクラウド)にシャードを分散配置できます。
アプリケーションからは「1つの論理データベース」として透過的にアクセスが可能です。 - データ主権の完全な保護とグローバル可視性
機密データや各国規制の対象となるデータは指定されたリージョン内に物理的に固定(データレジデンシー遵守)しつつ、1つのSQLクエリでグローバル全体を横断した検索・分析を効率的に実行できます。 - Raftベースのレプリケーションによる高可用性
従来のData Guardに加えて、Raftベースのレプリケーションモデル(Composite-Sharding-with-Raft)を導入。クォーラムベースの自動フェイルオーバーにより、1秒未満という超高速なRTO(復旧目標時間)を実現しています。

まとめ
- 高度なデータ分散と柔軟性:
業界で最も多様なデータ分散・レプリケーション手法を提供し、スモールスタートからエンタープライズ規模まで拡張可能。 - コンバージド・アーキテクチャ:
ベクター検索やAgentic AIワークロードなど、AI時代の多様なデータタイプと最新ワークロードにも標準で対応。 - Exascale連携によるコスト最適化:
Exascaleアーキテクチャ上での構築により、運用コストの削減と高いスケーラビリティを両立。

おわりに
国境やクラウドの垣根を越えたグローバル共通基盤において、「データ主権の遵守」「低遅延アクセス」「可用性」という一見トレードオフになりがちな要素を、Oracle Globally Distributed AI Databaseが見事に解決している実践例でした。
特にマルチクラウド環境やソブリンクラウドをまたぎながらも、開発者・運用者目線では「1つのデータベース」として扱える点は、今後のグローバルシステム設計において非常に強力な選択肢になると感じました。
引き続き現地のリアルな情報をインプットして、随時レポートしていきます!
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