1.はじめに
先日、最新バージョンの「Oracle Database 26ai」がリリースされたので、さっそくインストールしてみました。
本記事では、細かい設定は割愛し、OSの事前準備からDBの作成まで、構築の最低限の手順を振り返りたいと思います。
これから検証環境を作る方の参考になれば幸いです。
※26aiの新機能については、次回の記事で実際に触って紹介する予定です。
2.検証の概要
今回の検証環境の基本スペックは以下の通りです。
- OS:Oracle Linux 8.10
- Oracleバージョン:Oracle Database 26ai / Grid Infrastructure 26ai
- ノード構成:2ノード
- CPU:4vCPU
- メモリ:16GB
- ストレージ:80GB
3.事前準備
① インストールに使用するファイルの入手
まずは以下の3つを公式サイト等から入手し、今回は/tmpに配置しました。
・Oracle Grid Infrastructure 26ai インストールイメージ
・Oracle Database 26ai インストールイメージ
※上記2つは公式サイトより入手
https://edelivery.oracle.com/osdc/faces/Home.jspx
・Oracle Database Preinstallation RPM パッケージ
②「Preinstallation RPM」の実行
今回一番の時短ポイントです。このRPMを実行するだけで、必須パッケージの導入やカーネルパラメータの設定、さらに oracle ユーザの作成とリソース制限の設定 まで全て自動で済ませてくれます。
--- /tmp に配置したRPMファイルを指定してインストール
# yum install -y /tmp/oracle-ai-database-preinstall-26ai--1.0-1.el8.x86_64.rpm
③OSグループ・ユーザの作成
Preinstall RPMをインストールすることで、Oracle Databaseのインストールに必要なOSユーザとグループは自動作成されます。
しかし、Oracle Grid Infrastructureの管理に必要なOSユーザとグループまでは作成されないため、ここは手動で追加する必要があります。
※UID/GIDはOracle Database 26ai公式インストールガイドの記載例を参考に設定しています。
--- OSグループの作成
# groupadd -g 54327 asmdba
# groupadd -g 54329 asmadmin
--- OSユーザの作成
# useradd -u 54331 -g oinstall -G asmdba,asmadmin,racdba grid
--- gridユーザのパスワード設定
# passwd grid
ユーザ grid のパスワードを変更。
新しいパスワード:
新しいパスワードを再入力してください:
passwd: すべての認証トークンが正しく更新できました。
作成された oracle ユーザがASMの共有ディスクに正しくアクセスできるよう、oracle ユーザを asmdba グループに追加する作業も行います。
--- oracleユーザをOracle ASM DBA用グループに追加
usermod -a -G asmdba oracle
④ シェルのリソース制限(ulimit)の設定
OSユーザ作成と同様に、Preinstall RPMでは設定されない grid ユーザ用のリソース制限を、手動で /etc/security/limits.conf に追記します。
# vi /etc/security/limits.conf
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grid soft nproc 16384
grid hard nproc 16384
grid soft nofile 1024
grid hard nofile 65536
grid soft stack 10240
grid hard stack 32768
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4. ディレクトリの作成と所有権の設定
Oracle Grid Infrastructure と Oracle Database をインストールするためのベースディレクトリを作成し、それぞれの所有者を grid と oracle に変更しておきます。
# mkdir -p /u01/app/23.0.0/grid
# mkdir -p /u01/app/grid
# mkdir -p /u01/app/oracle
# chown -R grid:oinstall /u01
# chown oracle:oinstall /u01/app/oracle/
# chmod -R 775 /u01/
5.共有ディスクの権限変更
続いて、共有ストレージ(ASM)の設定です。
再起動時にデバイス名が変わってASMがディスクを見失うのを防ぐため、ディスク固有の「WWID」を取得してudevルールを作成します。
共有ディスクのデバイス名は環境によって異なるため、事前にlsblkコマンドで確認します。
# lsblk
NAME MAJ:MIN RM SIZE RO TYPE MOUNTPOINT
sda 8:0 0 80G 0 disk
-sda1 8:1 0 2G 0 part /boot
-sda2 8:2 0 75G 0 part
-- ol-root 252:0 0 55.8G 0 lvm /
--ol-swap 252:1 0 8.9G 0 lvm [SWAP]
--ol-home 252:2 0 10.3G 0 lvm /home
sdb 8:16 0 50G 0 disk
sdc 8:32 0 30G 0 disk
sdd 8:48 0 20G 0 disk
sr0 11:0 1 13.2G 0 rom
今回の検証環境では、共有ディスクとして/dev/sdb、/dev/sdc、/dev/sddを使用します。
#/usr/lib/udev/scsi_id -g -u -d /dev/sdb
出力例: 36000c29188049a4ff11e3b5a190b2345
#/usr/lib/udev/scsi_id -g -u -d /dev/sdc
出力例: 36000c2966838a6a61f21db5a4d9c7890
#/usr/lib/udev/scsi_id -g -u -d /dev/sdd
出力例: 36000c29774e269a41a70655895b2bb1b
# vi /etc/udev/rules.d/99-oracle-asmdevices.rules
---
KERNEL=="sd*", SUBSYSTEM=="block", PROGRAM=="/usr/lib/udev/scsi_id -g -u -d /dev/$name", RESULT=="36000c29188049a4ff11e3b5a190b2345", OWNER="grid", GROUP="asmadmin", MODE="0660"
KERNEL=="sd*", SUBSYSTEM=="block", PROGRAM=="/usr/lib/udev/scsi_id -g -u -d /dev/$name", RESULT=="36000c2966838a6a61f21db5a4d9c7890", OWNER="grid", GROUP="asmadmin", MODE="0660"
KERNEL=="sd*", SUBSYSTEM=="block", PROGRAM=="/usr/lib/udev/scsi_id -g -u -d /dev/$name", RESULT=="36000c29774e269a41a70655895b2bb1b", OWNER="grid", GROUP="asmadmin", MODE="0660"---
6. インストール作業の大まかな流れ
続いてインストーラー(OUI)の実行です。
細かい画面キャプチャなどの手順は割愛しますが、26aiのRAC環境も過去のバージョンと大きな流れは変わらず、以下の3ステップで構築していきます。
※GUIインストーラを使用するため、必要に応じてX転送の設定を実施してください。
① Grid Infrastructure (GI) のインストール
まずはRACの土台となるクラスタウェアとASMを構築します。
事前に作成しておいた Grid Home ディレクトリにインストールイメージを解凍し、インストーラーを起動します。
※以下のコマンドはgridユーザで実行してください。
$ cd /u01/app/23.0.0/grid
$ ./gridSetup.sh
Oracle Grid Infrastructure設定ウィザードを起動中...
GUI画面が起動したら、ネットワークやノード情報などはご自身の環境に合わせて適宜設定してください。
インストール終盤に、両ノードの root ユーザで root.sh を実行します。
② Database ソフトウェアのインストール
GIのインストールができたら、次はOracle Databaseのソフトウェア本体をインストールします。
こちらも Database Home となるディレクトリにインストールイメージを解凍し、インストーラーを起動します。
※以下のコマンドはoracleユーザで実行してください。
$cd /u01/app/oracle/product/23.0.0/dbhome_1
$ ./runInstaller
Oracle AI Database設定ウィザードを起動中...
ここでは「ソフトウェアのみの設定」を選択し、RAC環境として両ノードにソフトウェアを展開するように指定してインストールを完了させます。
③ DBCA によるデータベース作成
最後に、DBCAを実行し、実際にデータベースを作成します。
$ dbca
「データベースの作成」からRAC構成を選択したら、データベース名(SID)やパスワード、メモリ割り当てなどの細かい設定は、ご自身の環境に合わせて適宜入力していきます。
構築の流れ自体は過去バージョンとほぼ同じなので、今までRACを組んだことがある方ならスムーズに進められると思います。
7.おわりに
今回は、最新の Oracle Database 26ai を 2ノードRAC環境で構築する手順をご紹介しました。
インストール作業自体は今までと大きく変わったことはなく、これまでのRAC構築の経験がそのまま活かせると思います。
この環境を使って「26aiで進化したSQL新機能」を実際に使ってみたので、次回の記事で紹介したいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。




