はじめに
インフラ技術部T.Oです。
本記事では筆者の実務での利用経験を踏まえ、MIRACLE System Savior(MSS)を初めて知る方に向けて、
その概要や全体像をイメージしていただくことを目的としています。
MIRACLE System Savior(MSS)とは
MIRACLE System Savior(MSS)とは、サイバートラスト社が提供するシステムバックアップ/リストア用ツールです。
「MIRACLE System Savior V5 for SAP HANA」といった製品も存在するように、サーバーベンダーとの連携を強みとしつつ、
最新のサーバーやマルチOS、仮想化ソフトウェア、およびクラスタソフトウェアへの対応が現在も続けられています。
LiveCDベースで確実にバックアップを取得・復元できるツールのため、
オンプレミスのシステム可用性を確保する手段として有効です。
エンタープライズ向けサーバのディスクやパーティション単位バックアップ、復元、リカバリディスク作成、イメージ管理、ログ収集などをGUIベースで行えます。
利用にはライセンスが必要となり、サポート条件と組み合わせた方式で販売されております。
平日8時間のサポート対応や24時間サポート対応とサポート年数の組み合わせ、
といった条件で価格が分かれています。
例)MIRACLE System Savior V5 1年パック 8時間×平日5日サポート 98,100円(税抜)
特徴
1.LiveCD起動
MSSはLiveCDから起動して利用する製品のため、対象システムに影響を与えないオフラインバックアップを行います。
2.バックアップ/リストア対象
ディスク全体(パーティションテーブル含む)、または個別パーティションのバックアップ/リストアが可能です。
またマルチプラットフォーム対応のため、バックアップ対象ごとに手段を分ける煩雑化を抑えることが可能です。
※なお、差分/増分やオンラインバックアップには対応していないため、事前に注意が必要です。
3.簡便な操作
操作の流れはとてもシンプルで、ローカルディスク(USB など)にバックアップイメージを保管する場合、
起動→言語/キーボード選択→保管先選択(ストレージマウント)の後にバックアップ操作が可能です。
なおバックアップイメージの保管先は、Windows共有やNFSサーバを選択することも可能です。
簡易的なバックアップフロー
1.LiveCDをセットし、今回のみの起動メディアとして選択しサーバを起動。言語・キーボード選択を行います。
2.保管先として以下の選択肢が表示されます。
local_dev ローカルディスク(例:ハードディスク、USBメモリ)
samba_server Windows共有(Sambaサーバ)
nfs_server NFSサーバ
希望の保管先を選択し、local_dev以外の場合はネットワーク設定(dhcp/static)を行います。
※対応ストレージインターフェイス一覧(https://www.cybertrust.co.jp/mss/environment.html#a03)
3.保管先をマウントし、/home/partimag の空き容量を確認します。
※/home/partimagはMSS内部で決められるマウントポイントパスであり、ユーザ側で指定した保管先ディレクトリを
/home/partimagとして自動マウントします。
そのため、ユーザ側で指定した保管先の空き容量=操作画面上で表示される/home/partimagの空き容量となります。
4.バックアップ(savedisk/saveparts)あるいはリストア(restoredisk/restoreparts)を実行します。
5.必要に応じてイメージチェック、リカバリディスク作成、ログ収集を行います。
6.完了後にシャットダウン/再起動することで作業完了です。
注意が必要な点
1.バックアップ用ネットワークのVlan設定
バックアップ用ネットワークがタグVlanで構成されている環境にて、上記手順2のNFSサーバを選択した場合、
ネットワークインターフェースの選択に入る前にAlt+F2を押下することで開くコマンドライン画面にて、
vconfig add等のコマンドでVlan番号を付与する必要があります。
なお、Vlan番号を付与するインターフェースはMACアドレスを基に判断するため、
事前に対象インターフェースのMACアドレスを控える必要があります。
MSS上の設定のみでは通信がNFSサーバに到達しない場合は、
環境に応じてスイッチ等ネットワーク機器側の設定をリアルタイムで変更する必要があります。
2.Linuxベース以外のバックアップ対象の
LinuxベースのOS以外をバックアップ対象とする場合でも、MSS自体がLinuxベースLiveCDで起動しているため、
バックアップ対象のディスクは「sda」「sdb」といった表示になります。
これはMSSから見ると対象がWindowsであっても、あくまで「接続されているディスク装置」として
Linuxの作法で認識されるためです。
見分けるには対象選択画面の表示から推測する必要があります。
対象は「sda (100GB_{VMware}_{型番名}」といった形式で表示されるため、
物理サーバの場合は搭載しているHDD/SSDの型番で区別がつきます。
またドライブごとに容量が違う場合は、容量部分で見分けることも可能です。
不安な場合、コマンドライン(Alt+F2)でfdisk -lなど中身を確認することで確証を得ることが可能です。
最後に
MSSは、差分/増分バックアップ非対応といった注意点に気を付けることで、
幅広いプラットフォームへのバックアップ/リストアに利用可能です。
本記事が、企業向けシステムバックアップの要件に基づいて開発されたMSS導入の一助となれば幸いです。