レック・テクノロジー・コンサルティング株式会社TECH BLOG

AWSの長期継続割引について

はじめに

Re:Q Techブログをご覧いただきありがとうございます。 クラウド&ネットワーク技術統括部のN.Tです。

記事では長期継続割引種類概要について解説ます。
ガバメントクラウでも長期継続割引利用可能ため、どの割引選ぶ検討する役立つ基礎知識お届けすること目的としてます。


目次


1. リソースの長期継続割引一覧

料金体系の一覧表となります。
以下作成時の条件は「m6i.xlargeサイズのWindows Serverを1年間、前払いなし、リソース共有」となります。
そのため、Linuxを使用する場合は割引率や制約が異なりますのでご留意ください。

タイプ オプション 特徴 【参考】割引率
オンデマンドインスタンス - ・長期コミット不要で使用分のみの支払い
・通常利用の場合に適用される価格
定価
リザーブドインスタンス スタンダードRI ・EC2, RDS等の長期利用を確約し割引を受けられる
・リソース変更不可
高(19%)
リザーブドインスタンス コンバーチブルRI ・リソース変更が可能なため柔軟性が高いが、スタンダードRIと比較し割引率が低い 低(14%)
スポットインスタンス - ・AWSの余剰リソースを安価で利用
・AWS側都合で停止される可能性があるため注意
とても高い(41.20%)
Savings Plans Compute Savings Plans ・RIよりも柔軟性が高いが割引率が低い
・FargateやLambdaも割引対象となる
低(14%)
Savings Plans EC2 Instance Savings Plans ・スタンダードRIより柔軟性が高く、リソース変更が可能だが割引率は変わらない
・RDSは対象外となる
高(19%)

※2025/4/23時点の価格


2. 期間と支払い方法

長期継続割引は1年間もしくは3年間といった期間の選択と、前払いの有無により割引率が変わります。
期間が長いほど割引率が高くなり、前払いについては全額を前払いできるとより高い割引を受けられます。

下表はスタンダードRI を「m6i.xlargeサイズのWindows Serverをリソース共有」する場合の割引率になります。

前払い 1年間 3年間 備考
前払いなし 19% 31% 毎月料金を支払う。割引率は下記2つよりも低い
一部前払い 21% 33% 初月に一部の料金を支払い、その後残額を毎月支払う
前払いなしに比べ割引率が高くなる
全額前払い 22% 35% 初月に料金をすべて支払う
最も割引率が高い

※2025/4/23時点の価格



3. 各割引の詳細

3-1. スタンダードRI詳細

特定のリソースを一定の期間確実に使用することを確約することで割引を受けることができます。
リソースの変更予定がなく、スペックや台数が確定している場合には選択肢に入ると考えられます。

image.png

  • 適用対象・方法

    • 購入段階でインスタンス台数を指定する必要があります。
    • プラットフォーム、インスタンスタイプ、インスタンスサイズ等の条件を指定する必要があります。
    • 上記で指定したインスタンスに対し、自動で割引が適用されます。
    • 特定のEC2インスタンスを指定して割引を適用することはできません。
    • 適用時、インスタンスの停止及び再起動は必要なく、無停止で適用されます。
    • RDS等他のリソースを対象とした割引も存在します。
  • 適用後に変更可能な設定(Windows Server)

    • リージョン内でのAZ
  • 制限事項

    • 購入した期間はインスタンスファミリーやサイズ等の変更ができません。
    • AZあたり20台までの制限があります。
    • 完全自動更新機能はなく、更新時は手動でキューに入れる等の作業が必要です。





3-2. コンパーチブルRI詳細

スタンダードRIよりも柔軟性が高いのが特徴ですが、引き換えに割引率が低くなります。
途中でリソースの変更すると予想される場合にはこちらが選択肢に入ると考えられます。

image-1.png

  • 適用対象・方法

    • スタンダード同様
  • 適用後に変更可能な設定(Windows Server)

    • リージョン内でのAZ
    • インスタンスファミリー、インスタンスタイプ、プラットフォーム等の変更が可能です。
  • 制限事項

    • Marketplaceでの販売・購入はできません。
    • AZあたり20台までの制限があります。
    • 完全自動更新機能はなく、更新時は手動でキューに入れる等の作業が必要です。





3-3. スポットインスタンス詳細

AWSの余剰リソースを安価で利用できますが、中断される危険性があります。
バッチ処理や、テスト環境での利用など途中で処理が終了しても問題ない環境での利用想定と考えられます。

  • 適用対象・方法

    • スポットリクエストからスポットインスタンスのリクエストを行い、リクエストが受理されるとインスタンスが利用可能となります。
    • インスタンスタイプやAZが同一の、利用可能なキャパシティがある場合に起動可能です。
  • 制限事項

    • 中断される危険性があります。
    • 需要と供給に基づき料金が変動します。





3-4. Compute Savings Plans(SP)詳細

1年間もしくは3年間、一定の使用量を確約(コミット)することで割引が適用されます。
RIに比べ適用されるリソースの幅が広く、EC2の他にFargateやLambda等にも割引が適用されます。
利便性は高くなりますが、割引率は低く設定されています。

image-2.png

  • 適用対象・方法

    • 1年間もしくは3年間の1時間あたりの使用量を確約(=コミットメント)することで、その使用量に至るまでの料金は割引料金が適用されます。
    • 適用時、インスタンスの停止及び再起動は必要なく、無停止で適用されます。
    • LambdaやFargate等のリソースに対しても割引が適用されます。
    • RIと併用する場合、RIの方から優先的に割引が適用され、残りのリソースに対してSPによる割引が行われます。
    • 割引の適用対象は自動で選定され、削減率の高いリソースから順次適用されていきます。
  • 適用後に変更可能な設定(Windows Server)

    • リージョン内でのAZ
    • インスタンスファミリー、インスタンスタイプ、プラットフォーム等の変更が可能です。
  • 制限事項

    • コミットメントした金額は、リソースの使用有無に関わらず必ず支払い続ける必要があります。
    • コミットメントした金額を超過した際の使用料金はオンデマンド価格と同様になります。
    • コミットする金額は、購入者側で計算し購入する必要があります。
    • Cost Managementより大まかな推奨金額が確認可能です。
  • 参考 Savings Plans が の使用に適用される仕組みを理解する





3-5. EC2 Instance Savings Plans(SP)詳細

Compute Savings PlansではLambdaやFargate等のリソースにも割引が適用されますが、EC2 Instance Savings PlansではEC2インスタンスのみに限定されます。
スタンダードRIよりも少しだけ柔軟性が高く、割引率は同等となるため、
インスタンスタイプを変更する可能性がある場合や利用OSを変更する可能性がある場合には選択肢に入ると考えられます。

image-3.png

  • 適用後に変更可能な設定(Windows Server)

    • リージョン内でのAZ
    • インスタンスタイプ、プラットフォームの変更が可能です。
  • 制限事項

    • Compute Savings Plansと同様の制限に加え、以下の制限が追加されます。
    • EC2のみが割引対象となります。
    • インスタンスファミリーの変更はできません。


4. SLA違反時の扱いについて

Amazon EC2のSLA(サービスレベルアグリーメント)には、「1時間のうち6分を超えて利用不可状態が発生した場合、その1時間分の料金は利用者に請求されない」と明記されています。この際、利用者がクレジットを要求する必要はなく、該当する請求額は自動的に当月分の請求から差し引かれます。
Amazon Computeサービスレベルアグリーメント

リザーブドインスタンス(RI)の場合

では、RIを購入してEC2に適用している場合はどうなるのでしょうか。
弊社ではスタンダードRIを購入しており、2025/04/15に発生した東京リージョンの障害を受けRIの場合の扱いについて確認しました。

結論として、SLA違反が発生しRIが適用されているインスタンスに影響があった場合には、
該当時間分の料金が差し引かれることはありませんでした。

このような扱いになっている背景として、RIの以下の特性が関係しています。

    1. RIは稼働状況に関係なく時間単位で課金される
      RIは、対象インスタンスが稼働しているか否かにかかわらず、購入時に設定された時間単位で料金が発生します。

    2. RIは特定のリソースに紐付かない
      RIは、特定のインスタンスに直接紐付けられるのではなく、指定された属性(例:プラットフォーム、インスタンスタイプ、インスタンスサイズなど)に一致するあらゆるリソースに自動的に適用されます。

要するに「該当するEC2インスタンスが存在しなかった」扱いとなり、SLA違反による免除の対象とはなりません。

また次のページには以下の記載があり、対象のインスタンスを一時的に使用していない場合でもその時間分の料金は請求されると明記されています。
リザーブドインスタンスの購入方法

リザーブドインスタンス期間が終了するまでの各時間について、低い時間単価で計算したご利用料金をお支払いいただきます(つまり、1 時間まったく使用しないことがあったとしても、その時間の分の料金が請求されます)。

以上のことから、SLA違反が発生した場合でも、RIの特性上、該当時間分の料金が差し引かれることはありませんでした。


5. まとめ

長期継続割引にも複数の種類があり、適応したいリソースにあわせ柔軟な選択肢が用意されています。
弊社ではスタンダードRIを購入していますので、その購入手順や購入時の請求タイミング等の情報をまとめた記事を執筆予定なので 後続の記事もぜひご確認ください。

また弊社ではガバメントクラウド移行支援サービスを提供しています。
移行を検討しておりましたら、ぜひ資料請求・お問い合わせをお願いいたします。
https://www.reqtc.com/service/cloud/gov.html

この記事をシェアする

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • Line
  • Hatena
  • Linkedin

資料請求・お問い合わせはこちら

ページトップへ戻る