Re:Qの技術ブログにアクセスいただきありがとうございます!クラウド技術部のT.Aです。
私たちRe:Qは、ガバメントクラウドの導入支援、そして専門性が求められる統合運用管理補助業務に注力しています。 私たちが現場で直面した課題や解決策、そして効率的な運用体制の作り方を、本ブログで連載形式でお届けすることに致しました。
日本の行政におけるデジタル化は今、歴史的な転換期を迎えています。その中核を担うのが「ガバメントクラウド」です。2025年度末(2026年3月)のシステム標準化期限に向け、各自治体はこれまでの運用を根本から見直す決断を迫られていました。 本記事では、ガバメントクラウドの定義から、オンプレミスとの違い、実務におけるリフトアップの検討事項、そして主要4大クラウドの選定基準まで、当社が現場で培った知見を交えて徹底解説します。
1. ガバメントクラウドとは
ガバメントクラウドとは、デジタル庁が主導し、地方公共団体や政府機関が共通して利用できるクラウド利用環境を指します。 これまで日本の行政システムは、各自治体が個別に仕様を決め、個別にベンダーと契約して構築する「個別最適」の形をとってきました。
しかし、この方式では災害時のデータ連携や、全国一律の給付金対応などでスピード感に欠けるという課題が露呈しました。 ガバメントクラウドは、国が厳選した高セキュアかつ高性能なインフラ(CSP:クラウド・サービス・プロバイダ)を共通基盤として提供することで、「行政サービスの迅速な提供」と「運用コストの劇的な削減」を目指すものです。
2. オンプレミスからクラウドへ
長年、自治体システムを支えてきたのは、庁舎内やデータセンターに専用機器を設置する「オンプレミス」型でした。 これに対し、ガバメントクラウド(パブリッククラウド)への移行は、単なるサーバーの引っ越しではなく、IT管理の思想そのものを変える必要があります。
「所有」から「利用」へ: 5年ごとのハードウェア保守期限に縛られる必要がなくなります。必要な時に必要な分だけリソースを確保し、不要になれば即座に削減できる「弾力性」が最大の特徴です。
責任共有モデルの導入: オンプレミスでは全ての障害対応が自己責任でしたが、クラウドでは「インフラそのものの堅牢性」はクラウド事業者が担保し、ユーザーはその上の「データや設定」に集中するという役割分担が明確になります。
セキュリティのパラダイムシフト: 物理的な「壁」で守る境界型防御から、アクセスごとに認証を行う「ゼロトラスト」の考え方へシフトします。
3. 実務担当者が直面する「リフトアップ(移行)」の重要検討事項
当社が多くの自治体様を支援する中で、最も重点をおく議論が「リフト(既存システムの移行)」のプロセスです。 単にプログラムを移すだけでは、クラウドのメリットを享受できないどころか、コストが増大するリスクもあります。現場で必ず検討すべきポイントは以下の3点です。
① ネットワーク経路の最適化
ガバメントクラウドへの接続には、専用の閉域網(LGWAN等)やガバメントクラウド接続サービスの利用が必須です。通信トラフィックが増大するため、既存の回線帯域で足りるのか、あるいは遅延(レイテンシ)が業務に影響しないか、事前の精密なサイジングが必要となります。
② 運用管理フローの再定義
クラウドは「動かしっぱなし」にするとコストが積み上がります。夜間や休日など、業務時間外のインスタンス停止や、リソースの動的監視など、クラウドならではの運用ルールを策定する必要があります。 当社では、これまでのオンプレ運用をどうクラウドに適合させるか、運用設計書の落とし込みを徹底しています。
③ コストマネジメント(FinOps)
最大の懸念は「従量課金」による予算管理です。為替変動やデータ転送量の増大により、当初の予算を上回る可能性があります。監視ツールを活用し、異常な課金を検知する仕組み作りや、リザーブドインスタンス(長期利用割引)の戦略的な活用が求められます。
④ オンプレミスに残す選択肢
すべてのリソースをクラウドに移行することが正解ではありません。「今」移行を行うことが適切ではないサーバーは、オンプレミスに残す選択肢も存在します。 その選択肢も検討しながら、適切な移行タイミングを検討する必要が求められます。
4. 4大クラウド(CSP)の特性と選定のポイント
現在、デジタル庁に選定されている4つのクラウドサービスには、それぞれ明確な強みがあります。当社では、お客様の既存資産や将来のビジョンに基づき、最適な提案を行っています。
Amazon Web Services (AWS): 世界・国内ともに圧倒的なシェアを誇ります。ガバメントクラウドとしての実績が最も多く、先行事例(ナレッジ)が豊富なため、トラブル対応や拡張性の面で非常に高い安心感があります。
Microsoft Azure: Windows ServerやActive Directory、Microsoft 365を基盤としている自治体様にとって、最も親和性が高い選択肢です。ライセンスの持ち込み(BYOL)によるコスト抑制や、認証基盤の一元管理に強みを持ちます。
Google Cloud (GCP): データ分析基盤(BigQuery等)やAI・機械学習の分野で他を圧倒します。将来的に蓄積された行政データを利活用し、EBPM(エビデンスに基づく政策立案)を推進したい自治体様に適しています。
Oracle Cloud Infrastructure (OCI): 後発ながら、高性能なデータベースを低コストで提供することに特化しています。既存の基幹系システムがOracle Databaseで構築されている場合、移行の技術的ハードルが最も低く、費用対効果に優れます。
5. 当社が提供する価値と今後の展望
ガバメントクラウドへの移行は、2025年度という期限がある「守り」のDXであると同時に、行政のあり方を根本から変える「攻め」のDXへの第一歩でもあります。 当社は、これまでのオンプレミス構築で培った経験と知識、最新のクラウド技術を掛け合わせることで、単なるインフラ移行に留まらない「価値ある変革」を支援しています。設計から構築、そして移行後の運用・コスト最適化まで、伴走型でサポートいたします。
ガバメントクラウドへの移行について、具体的な懸念点や技術的なご相談がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
Re:Qでは「ガバメントクラウド移行支援サービス」を提供しています。
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