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AWS長期継続割引の予約購入手順と購入確認方法について

0. はじめに

Re:Q Techブログをご覧いただきありがとうございます。
クラウド&ネットワーク技術統括部のN.Tです。


前回の記事では長期利用割引の一覧についてまとめました。 そちらに続き本記事では、地方公共団体の会計年度開始の4月1日にリザーブドインスタンス(以降RIと表記)を購入する状況を想定し、購入手順をまとめます。
また、購入後の適用確認方法や課金タイミングなどの気になる点についても併せて記載いたします。

ガバメントクラウドの利用料について、長期継続利用割引の適用を通じた低廉化に取り組むと公表されています。

スライド26 (P.23) より

国は、ガバメントクラウドの利用料について、大口割引や長期継続割引の適用などを通じた低廉化に取り組む

地方公共団体情報システム標準化基本方針

総務省の公開資料より、以下の記載がありました。
地方公共団体の会計年度は4月1日~翌年3月31日までとされているようなので、4月1日に長期継続割引を購入すると想定します。

スライド19 (P. 45)より

地方自治法第208条第1項
会計年度 普通地方公共団体の会計年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。

地方公共団体の財務制度に関する研究会


目次

1. スタンダードRI予約購入の時間について

2. スタンダードRI適用時の確認ポイントについて

3. スタンダードRI予約購入時の手順

4. 購入完了後の反映確認

5. 課金タイミングはいつになる?

6. さいごに


1. スタンダードRI予約購入の時間について

RIの予約購入を行う場合、Webコンソール上からは日付の指定までしかできず、時間を指定する場合はAWS CLIコマンドによる予約が必要になります。
Webコンソールからの予約購入では、内部的には「UTC 00:00」の時間指定がされています。
JSTの場合、時差はUTC+0900なのでWebコンソールから予約した場合は指定した日付の09:00に購入処理が実施されます。

つまり、「JST 4/1 9:00」に予約購入したい場合はそのままWebコンソールから予約すれば問題ありません。

その他の時刻に予約したい場合はAWS CLIコマンドを利用する必要があります。
なお、弊社ではWebコンソールから予約購入を行ったため、AWS CLIコマンドによる時間指定は未検証であることをご留意ください。


2. スタンダードRI適用時の確認ポイントについて

スタンダードRIの場合、以下の属性に基づいてどのEC2に割引を適用するかを判断しています。
これらの属性が一致していることをシステム的に判定してくれる機能はAWSには存在しておらず、
目視確認を行う必要があるため注意が必要です。

RI属性 EC2属性
プラットフォーム プラットフォームの詳細 (例: Linux/UNIX)
スコープ(範囲) リージョン (例: アジアパシフィック(東京))
テナンシー テナンシー (例: default)
インスタンスタイプ インスタンスタイプ (例: t2.medium)

予約購入の場合、予約処理が完了すると一度キューに入ります。
キューに入れたタイミングで属性が一致していることを確認することを推奨致します。
万が一属性の不一致を確認できた場合、キューに入っているタイミングであればキャンセル可能なためです。

またAWSサポートにダブルチェックを依頼することも可能ですので、必要に応じてご利用をご検討ください。


3. スタンダードRI予約購入時の手順

弊社では、「JST 4/1 09:00」にRIの購入処理が実施されるよう予約購入を行いました。
また、購入した条件は以下になります。
- スタンダードRI
- 前払いなし
- 期間は1年間

その際の手順を以下に記します。

  1. 事前に適用対象インスタンスの各種属性を確認します。
    確認ポイントについては上述の「2. スタンダードRI適用時の確認ポイントについて」を確認してください。

    1-1. EC2インスタンス一覧より、RIの対象としたいインスタンスの情報を表示します。
    「プラットフォームの詳細」ステータスが「Windows」と表示されていることを確認します。
    また、「アベイラビリティゾーン列」は「ap-northeast-1」と表示されているため、アジアパシフィック(東京)であることがわかります。
    スクリーンショット 2025-06-17 095324.png

    1-2. 次に「テナンシー」は「デフォルト」となっていることを確認します。
    スクリーンショット 2025-06-17 100124.png

    1-3. 次に「インスタンスタイプ」を確認します。
    今回は「m6i.xlarge」のインスタンスタイプを対象とします。
    スクリーンショット 2025-06-17 100245.png

  2. 左ペインより「リザーブドインスタンス」をクリックし、リザーブドインスタンスの一覧を開きます。
    一覧を開いたら、右上の「リザーブドインスタンスの購入」ボタンをクリックします。
    スクリーンショット 2025-06-17 100801.png

  3. クリック後、「リザーブドインスタンスの購入」のポップアップが表示されます。
    手順1. で確認した属性及び、前払い有無や期間を選択し、「検索」ボタンをクリックします。
    スクリーンショット 2025-06-17 100936.png

  4. 検索後、対象のRIが表示されるため、希望数量を購入したい個数に変更し「カートに入れる」ボタンをクリックします。
    スクリーンショット 2025-06-17 101258.png

  5. RIをカートに入れた後、「カートを見る」ボタンの色が変わりクリックできるようになるため他に購入するRIがない場合は「カートを見る」ボタンをクリックします。
    ※弊社では他のRIも同時に購入したため、画像の数量や合計金額等が変わっておりますことご留意ください。
    スクリーンショット 2025-06-17 101729.png

  6. ショッピングカートの中身が表示されます。
    予約購入を行う場合、「以下を注文」列の「現在」と表示されいてる箇所をクリックし、カレンダーから購入日付を指定してください。

    スクリーンショット 2025-06-17 102029.png

    今回は「2025年4月1日」に指定しました。
    スクリーンショット 2025-06-17 102133.png

  7. 日付を指定後、各種属性などに間違いがないことを確認の上、「すべて注文」ボタンをクリックします。
    このボタンを押したタイミングで注文が確定されますので再度内容を確認した上でボタンを押すことを推奨します。
    スクリーンショット 2025-06-17 102236.png

  8. 注文ボタンをクリック後、「注文を正常に送信しました」と表示されることを確認します。
    スクリーンショット 2025-06-17 102459.png

  9. RIの一覧表示画面に戻ります。
    「開始」列が「April 1, 2025, 09:00 (UTC+09:00)」と表示されていることから、「JST 4/1 09:00」に購入が完了されるように予約できていることがわかります。
    補足情報ですが、「状態」列が「キューに入りました」と表示されていますが、キューに入っている状態であれば予約のキャンセルができます。
    スクリーンショット 2025-06-17 102525.png
    スクリーンショット 2025-06-17 102731.png


これで予約購入は完了です。

次の項目で、購入処理完了後の反映確認方法を記載します。


4. 購入完了後の反映確認

予約した購入処理が完了されたのち、上記で記載した「状態」列が「アクティブ」に変わっていることを確認します。
スクリーンショット 2025-07-03 102924.png

「請求とコスト管理」 -> 「予約」 -> 「使用状況レポート」のページを開きます。
「予約使用状況の内訳」欄を確認し、「使用状況」列が100%と表記されていればRIは適用されています。
スクリーンショット 2025-06-17 123526.png
スクリーンショット 2025-06-17 123539.png

詳細情報として、どのインスタンスに適用されているかは、後述の「コストと使用状況レポート」(以降CURと表記)を使用して確認する必要があります。
CURの使用には設定が必要なため、必要に応じて後続の手順を実施してください。

コストと使用状況レポートの設定

事前準備として、出力先のS3バケットをあらかじめ作成しておく必要があります。

  1. 「請求とコスト管理」 -> 「レガシーページ」 -> 「コストと使用状況レポート」のページを開き、「レポートの作成」ボタンをクリックします。
    スクリーンショット 2025-06-17 114419.png

  2. レポートの詳細の設定画面に遷移するため、以下の設定を行います。
    ・レポート名 : 任意の名称を設定
    ・リソースIDのインクルードに☑
    ・自動的に更新は☐ (チェックを外します)

    設定後、「次へ」ボタンをクリックします。
    スクリーンショット 2025-06-17 114452.png

    スクリーンショット 2025-06-17 114517.png

  3. レポートの出力先バケットを設定します。
    以下についてはご自身の環境に合わせ任意の設定を実施し、「次へ」をクリックします。
    スクリーンショット 2025-07-03 103104.png

  4. 確認画面が表示されるため、設定値を確認の上「レポートの作成」ボタンをクリックします。

スクリーンショット 2025-06-17 114614.png

スクリーンショット 2025-07-03 103248.png

コストと使用状況レポートの確認

※レポートの設定後、反映までに最大24時間かかることがありますのでご注意ください。
> 最初のレポートを Amazon S3 バケットに配信 AWS するまでに最大 24 時間かかる場合があります。
[AWS コストと使用状況レポートとは](https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/cur/latest/userguide/what-is-cur.html)

「コストと使用状況レポートの設定」にて指定したS3バケットにレポートが出力されるため、ダウンロードしてCSVファイルを開きます。
CSVファイルにて、以下①②を実施します。

①下記のフィルタリングを実施
lineItem/LineItemType : Discounted Usage (下記画像K列)
lineItem/ProductCode : AmazonEC2 (下記画像N列)

②下記カラムにてそれぞれインスタンスIDとRI IDを確認
lineItem/ResourceId : RIが適用されたインスタンスID (下記画像R列)
reservation/ReservationARN : インスタンスに適用されたRI ID (下記画像GC列)

スクリーンショット 2025-06-17 124250.png

予約の明細項目を理解する


5. 課金タイミングはいつになる?

月初に購入した場合

RIの課金タイミングは月初に1か月分がまとめて請求されます。

AWSドキュメントには以下の記載がありますが、実際には下記動作とは異なる点に注意してください。

リザーブドインスタンス は選択した期間内の 1 時間ごとに請求されます。

使用料の請求

月の途中で購入した場合

月の途中で購入した場合は、購入完了日に月の残りの日数分の金額の請求が発生します。
翌月からは月初に請求されます。

以下の画像では、緑色タグキーのインスタンスは3/11にRIを購入しました。
そのため、3/11のタイミングで残り日数分の請求が行われ、同日からはオンデマンド料金は$0.00に変わっていることが確認できます。

スクリーンショット 2025-06-17 125252.png

予算超過アラートについて

本運用を開始していて、Budgetsで予算超過アラートを設定している場合は初月のみ予算超過アラートが通知される可能性があります。
ただし、2か月目以降はAWS側の学習により、予算超過アラートは発生しないようになっています。


6. さいごに

弊社ではガバメントクラウド移行支援サービスを提供しています。
移行を検討しておりましたら、ぜひ資料請求・お問い合わせをお願いいたします。
https://www.reqtc.com/service/cloud/gov.html

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