はじめに
インフラ技術部のOです。
今回はOLVMアップグレード編の最終回として、OLVM4.4からOLVM4.5へのアップグレードについてご紹介します。
OLVM4.5は、2025年12月時点でOLVMの最新バージョンとなります。
前回、前々回に紹介したOLVM4.3からOLVM4.4へのアップグレード手順と大きく異なる部分はOSのアップグレードを含まない点です。そのため、比較的簡潔な手順で実施できるという特長があります。
なお、OLVM4.3からOLVM4.5へ直接アップグレードすることはできません。必ず先にOLVM4.3からOLVM4.4へアップグレードする必要があります。
また、実際の作業時は、失敗時の切り戻しのために、予めOLVMのバックアップやKVMホストのOSのシステムバックアップを取得しておくことをお勧めします。
OLVMについての他の記事や、アップグレード編の下記の記事は下記からご覧いただけます。
そもそもOLVMって何?という方や、OLVMについて知りたい!という方は、こちらから読んでいただくのがおすすめです。
「Oracle Linux KVM」の記事一覧
アップグレードの流れ
説明は、下記の構成を例として行います。
・OLVM:セルフホステッドエンジン方式
・KVMホスト:2台
・仮想マシン:2台
アップグレード手順は、下記の4つのフェーズに分けて説明します。
1.アップグレード前
2.アップグレード(OLVM)
3.アップグレード(KVMホスト)
4.アップグレード後
各フェーズで実施する大まかな手順は次の通りです。
~1.アップグレード前~
①OLVM以外の仮想マシンを退避
②OLVMをOLVM4.4の最新バージョンへアップデート
③KVMホストを4.4の最新バージョンへアップデート
~2.アップグレード(OLVM)~
①バージョン4.5のリポジトリをインストール
②OLVM関連パッケージをアップグレード
③エンジンセットアップ
~3.アップグレード(KVMホスト)~
①KVMホストをメンテナンスモード化
②バージョン4.5のリポジトリをインストール
③カーネルモジュールをインストール
④KVMホストをアップグレード
~4.アップグレード後~
①クラスター互換バージョンを変更
②データセンター互換バージョンを変更
③仮想マシンの配置を復元(任意)
④バージョン4.4のリポジトリパッケージを削除
それでは以降よりアップグレードの流れを説明します!
1.アップグレード前
①OLVM以外の仮想マシンを退避
OLVMが稼働しているKVMホスト(例ではKVMホスト#1)上には、OLVMのみが稼働している状態にします。
OLVM以外の仮想マシンが同一KVMホスト上で稼働している場合は、それらをすべてクラスター内の他のKVMホストへ
退避します。
②OLVMをOLVM4.4の最新バージョンへアップデート
OLVMのOSからコマンドを実行し、OLVM関連のパッケージを、OLVM4.4の最新バージョンへアップデートします。
※アップデートには、OLVMのエンジンサービスの停止と起動、及びOSの再起動が含まれます。
③KVMホストを4.4の最新バージョンへアップデート
OLVMの管理ポータル(GUI)からKVMホストをメンテナンスモードに変更し、4.4の最新バージョンへアップデートします。
アップデート処理が完了し、KVMホストをアクティブ化すると、以降は退避した仮想マシンをKVMホスト上に戻すことが
できます。
アップデートが完了したら、OLVMのイベントログの確認や動作確認を行い、OLVM及びKVMホストのアップデートによる
不具合が発生していないことを確認してください。
※対象KVMホスト上で仮想マシンが稼働している場合は、クラスター内の他のホスト上へ退避してからアップデートを
実行します。
※アップデートには、OSの再起動が含まれます。
2.アップグレード(OLVM)
まずはじめに、OLVMからアップグレードを実施します。
①バージョン4.5のリポジトリをインストール
OLVMのOSからコマンドを実行し、バージョン4.5のリポジトリをインストールします。
# dnf install oracle-ovirt-release-45-el8
②OLVM関連パッケージをアップグレード
OLVM関連のパッケージを、バージョン4.5へアップグレードします。
# engine-upgrade-check
# dnf update ovirt\*setup\*
③エンジンセットアップ
バージョン4.5のOLVMをセットアップします。
※エンジンセットアップには、ovirt-engineサービスの再起動が含まれます。
# engine-setup
3.アップグレード(KVMホスト)
OLVMのアップグレードが完了したら、KVMホストのアップグレードに進みます。
下記①~④を、環境の全てのKVMホストで順次実施します。
①KVMホストのメンテナンスモード化
OLVMの管理ポータル(GUI)からKVMホストをメンテナンスモードに変更します。
※対象KVMホスト上で仮想マシンが稼働している場合は、クラスター内の他のホスト上へ退避します。
②バージョン4.5のリポジトリをインストール
KVMホストのOSからコマンドを実行し、バージョン4.5のリポジトリをインストールします。
# dnf install oracle-ovirt-release-45-el8
③カーネルモジュールをインストール
バージョン4.5用のカーネルモジュールをインストールし、OSを再起動します。
# dnf install kernel-uek-modules-extra
# shutdown -r now
④KVMホストをアップグレード
OLVMの管理ポータル(GUI)から、KVMホストをアップグレードします。
アップグレード処理が完了し、KVMホストをアクティブ化すると、以降は退避した仮想マシンをKVMホスト上に戻すことができます。
①に戻って、残りのホストについても同様にアップグレードを実行していきます。
アップグレードが完了したら、OLVMのイベントログの確認や動作確認を行い、OLVM及びKVMホストのアップグレードによる不具合が発生していないことを確認してください。
※アップグレードには、OSの再起動が含まれます。
4.アップグレード後
OLVMと、全てのKVMホストのアップグレードが完了したら、データセンター、クラスターの互換バージョンを変更し、
アップグレードを完了させます。
※データセンターとクラスターの互換バージョンの役割や設定値については、こちらの記事の
「互換バージョンについて その①」と「互換バージョンについて その②」で説明しています。
①クラスター互換バージョンを変更
クラスターの互換バージョンを変更する前に、次の前提条件を満たしていることを確認します。
・クラスター内の全てのホストが、Oracle Linux KVM4.5を実行していること
上記を確認した後、OLVMの管理ポータルからクラスターの互換バージョンを4.7に変更します。
※互換バージョンの変更を適用するために、OLVMを除くすべての仮想マシンの再起動が必要です(管理ポータルから実行)。
②データセンター互換バージョンを変更
データセンターの互換バージョンを変更する前に、次の前提条件を満たしていることを確認します。
・データセンター内の全てのクラスターが、互換バージョン4.7であること
上記を確認した後、OLVMの管理ポータルからデータセンターの互換バージョンを4.7に変更します。
※データセンターの互換バージョン変更時は、仮想マシンの再起動は不要です。
③仮想マシンの配置を復元(任意)
アップグレード作業の中で仮想マシンの再配置を繰り返し行ったため、仮想マシンのCPU固定を行っているなどの理由で配置先ホストに決まりがある場合は、必要に応じて仮想マシンが稼働するホストが元通りになるよう再配置を行います。
④バージョン4.4のリポジトリパッケージを削除
OLVM、KVMホストのアップグレードが完了し、動作に問題がないことが確認出来たら、バージョン4.4のリポジトリパッケージは削除します。
下記のコマンドをOLVM、KVMホスト両方で実行します。
# dnf remove oracle-ovirt-release-el8
おわりに
いかがでしたでしょうか。
OLVM4.3からOLVM4.4へのアップグレードは手順が多く煩雑でしたが、今回はその主たる理由であったOSアップグレードが無いため、とても簡単だという印象を受けた方も多いのではないでしょうか。
とはいえ、OLVM4.5は現行の最新バージョンのため、アップグレードを実施する際には入念な情報収集と検証を行い、
予期せぬ不具合に遭遇しないよう準備することが重要となります。
全4回のOLVMアップグレード編は本記事で完結となります。
OLVMのアップグレードについて、本記事が少しでも皆様の理解を深める手助けとなれば幸いです。
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