はじめに
こんにちは。
レックのエンジニアA.Tです。
今回はOracle Cloud Infrastructureの認定資格「Oracle Cloud Infrastructure 20XX Architect 」系の試験範囲から、
OCIの物理的側面として挙げられる「リージョン」「可用性ドメイン」「フォルトドメイン」の基礎知識について
お話しします。
OCIの耐障害性アーキテクチャ
「リージョン」「可用性ドメイン」「フォルトドメイン」とは、それぞれOCIの物理的な配置構造のことを指し、
OCIの耐障害性アーキテクチャを実現しています。ひとつずつ解説していきます。
リージョン Region
名称の通り、OCIが設定されている国や都市圏レベルの地域を指します。
全ての国において、必ずリージョンは2か所設定されています。
日本では「東京リージョン」「大阪リージョン」の2つのリージョンが存在しています。
※リージョンについては後述にて、更に言及します。
可用性ドメイン (AD:Availability Domain)
リージョンの中に存在する物理的なデータセンターにあたります。
可用性ドメイン同士は互いに離れた位置にあるため、同時に障害が発生する可能性は低くなり、
また物理インフラストラクチャーの共有がされないため、1つの可用性ドメインの障害が他の可用性ドメインに
影響する可能性も低くなります。
リージョンの中に存在する可用性ドメインの数についてはパターンが2種類存在しており、
可用性ドメインが3つ存在するマルチADリージョン
可用性ドメインが1つだけ存在するシングルADリージョンの2種類があります。
マルチADリージョンは以下の国や地域で設定されており、それ以外の国や地域のリージョンはシングルADリージョンで設定されています。
【マルチADリージョンの地域】
・フランクフルトFRA
・ロンドンLHR
・アッシュバーンIAD
・シカゴORD
・フェニックスPHX
★重要ポイント:1つのリージョンの中に可用性ドメインが3つ or 1つ存在すること
可用性ドメインの数と、1つの国にリージョンが2つ存在することを混同しないようにしましょう。
フォルト・ドメイン (FD:Fault Domain)
可用性ドメインの中に存在する、論理的なデータセンターにあたります。
1つの可用性ドメインの中に必ず3つ設定されています。
▼フォルト・ドメインを使用することで
①インスタンスを分散して、単一の可用性ドメイン内の同じ物理ハードウェア上に存在しないようにすることが可能
もし1つのフォルト・ドメインで予期しないハードウェア障害や、ハードウェアメンテナンスが発生しても、
他の2つのフォルト・ドメインで稼働しているリソースは影響を受けず、サービスを継続することができます。
②複数のフォルト・ドメインが存在することで、可用性ドメイン内で障害が発生しても他への影響を減少することが可能
異なるフォルト・ドメインに配置されたリソースは、ハードウェア障害の単一ポイント(同じ物理サーバ、物理ラック、ラックスイッチの上部、または電力配分装置など)を共有しません。
インスタンスの起動時にコンピュートやデータベースのインスタンスをフォルト・ドメインに配置することで制御できます。
★重要ポイント:フォルトドメインは、可用性ドメインの中に必ず3つ存在しています。
リージョン ・・・1つの国に2つ
|
|_可用性ドメイン ・・・リージョンの中に3つ or 1つ
|
|__フォルトドメイン1
|__フォルトドメイン2
|__フォルトドメイン3
リージョンを選択する際に考慮する3つのポイント
①場所
待ち時間が最小になるように、また最高のパフォーマンスのために、ユーザーに最も近いリージョンを選択しましょう。
もし日本のユーザーなら、東京/大阪に設定することが推奨されます。
②データレジデンシーとコンプライアンス
多くの国々では厳格なデータの居住要件があり、外国にデータを持ち出すことを禁止しています。
そのため、居住要件も考慮してリージョンを選択する必要があります。
③サービスの可用性
クラウドサービスは地域の需要、規制への準拠、リソースの可用性などの要因に基づいて提供されます。
日本であれば東京と大阪の2つのリージョンを設定することで、もし東京で障害が起きても大阪でサービスを
保つことができ、可用性を担保することが可能です。
デュアル・リージョン戦略
OCIのリージョン設定は、
1つの国に必ず2か所のリージョンを設置するように考慮する「デュアル・リージョン戦略」に基づいて行われています。
現在OCIで設定可能なリージョンは世界に24か国、計48か所のパブリック・クラウド・リージョンが存在し、
サービスを提供しています。
このデュアル・リージョン戦略によって、国内だけで耐障害性(レプリケーション設計)が可能となり、外国へデータを
持ち出せない要件にも対応可能となっています。
前述の通り、日本では東京と大阪の2つのリージョンが設置されていることも、この戦略に基づいています。
ちなみに
仮想マシンやデータベース、ネットワークなどOCIのリソースは多岐に渡りますが、
これらにはそれぞれ有効範囲があります。
有効範囲は大きく分けて以下の4種類です。
①グローバル
複数のリージョンをまたがって全体で有効な定義/リソース。有効範囲としては最大。
②リージョン
そのリージョン内でのみ有効な定義/リソース。
③可用性ドメイン
特定の可用性ドメイン内でのみ有効な定義/リソース。
④フォルト・ドメイン
特定のフォルトドメイン内でのみ有効な定義/リソース。有効範囲としては最小。
例えば、ユーザー名やパスワードはリージョンが変わっても利用可能なグローバルなリソースであり、
仮想マシンはフォルト・ドメイン内で有効なリソースとなります。
| 有効範囲 | リソースの分類 |
| グローバル | ユーザーやグループ、コンパートメントの定義など、 環境全体の設定に関する論理的なリソース |
| リージョン | VCN (Virtual Cloud Network) オブジェクト・ストレージ データベース・サービス(高可用性構成時)など |
| 可用性ドメイン | コンピュート・インスタンス(VM) ブロック・ボリュームなど ■ 高可用性を得るには、ユーザー自身が このリソースを複数の可用性ドメインに分散させる必要があります。 |
| フォルトドメイン | 仮想マシンなどのコンピュート・インスタンス ブロックボリューム ■ ただし、フォルト・ドメインのリソースとは 可用性ドメインのリソースを物理的に分離したものが該当しますので、 フォルト・ドメイン固有のリソースは存在しません。 |
まとめ
「リージョン」「可用性ドメイン」「フォルトドメイン」のそれぞれの関係性と数を整理して覚えるようにしましょう。
また、以下のリンクからOCIにはどのようなリソースが存在するのかを確認することができます。
興味のある方はのぞいてみてください。OCIについての理解を深める一助になれば幸いです。
参考:
Oracle Cloud Infrastructureドキュメント
リージョンおよび可用性ドメイン
https://docs.oracle.com/ja-jp/iaas/Content/General/Concepts/regions.htm?utm_source=chatgpt.com
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