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HPE Synergyの2フレーム構成における物理障害点とデータ通信経路冗長性の一例紹介

初めに

今回は、コンポーザブル・インフラストラクチャ「HPE Synergy」における、データ通信経路の冗長性を一部ご紹介します。
当社では、ブレードサーバなどの本格的な物理ハードウェアを扱うことも可能です

HPE Synergyとは

2016年1月27日に、日本国内でHewlett Packard Enterprise(HPE)から発表されたコンポーザブル・インフラストラクチャ「HPE Synergy」。
このHPE Synergyは従来のブレードサーバの利点を活かしつつ、より柔軟で動的なインフラストラクチャを提供します。
高密度な環境を実現する内側で、物理障害発生時にデータ通信経路の冗長性がどのように保たれるのか。
今回はその一例を紹介させていただきます。
なお、各コンポーネントの説明(デバイスベイが何個付いているかなど)は記載しないため、
製品詳細のご確認はHPE公式のシステム構成図などをご覧ください。

想定環境

今回紹介する一例の環境は2フレーム構成を想定し、
1フレームごとに以下が搭載されているものと仮定します。
HPE Synergy外のネットワークスイッチやストレージ機器との接続および物理障害は今回考慮いたしません。

■1フレーム単位の構成要素
・フレーム
  HPE Synergy 12000フレーム*1
コンピュートモジュール
  HPE Synergy 480*1
インターコネクト
  プライマリインターコネクトモジュール*1
  サテライトインターコネクトモジュール*1
  インターコネクトリンクケーブル*4

HPE Synergy概要4.png

平常時のデータ通信経路

HPE Synergyは、前面のコンピュートモジュールおよびコンポーザと、背面のインターコネクトモジュールに大別されます。
そして2フレーム構成の場合、インターコネクトモジュールのプライマリとサテライトを搭載して接続することで、
異なるフレーム間での通信を可能にし、One viewを通じたストレージプールの共有やネットワーク通信を実現します。
具体的には、下記図「平常時のデータ通信経路」の矢印で示した経路を通り、
外部ネットワークトスイッチやストレージ機器とのデータ通信が行われます。

HPE Synergy平常時6.png

上図の経路①と②を例に、外部通信までの詳細をさらに示します。
フレーム1上にあるコンピュートモジュール発のデータ通信①②は、
コンピュートモジュールに搭載されたCNA(Converged Network Adapter)を介して、
フレーム1上のプライマリおよびサテライトインターコネクトモジュールへ向かいます。

①の場合
フレーム1のプライマリインターコネクトモジュールに向かった通信は、
アップリンクポートから外部に到達します。

②の場合
フレーム1のサテライトインターコネクトモジュールに向かった通信は、
インターコネクトリンクケーブルを通じてフレーム2のプライマリインターコネクトモジュールへ向かい、
そこからアップリンクポートから外部に到達します。

フレーム2上のコンピュートモジュール発のデータ通信③④についても、
上記と同じように両フレームのプライマリインターコネクトモジュールから外部に到達します。

物理障害例と通信経路の冗長性

以下に物理障害の例と、例ごとに外部への通信経路状況を記載します。

■物理障害パターンとデータ通信経路対応表(○は通信可能、×は通信断を示します。)
 
例1-1
フレーム1障害
例1-2
フレーム2障害
例2-1
フレーム1障害
例2-2
フレーム2障害
例3:フレーム1
ポート1障害
例4:フレーム1
ポート2障害
例5:フレーム1
ポート1,2障害
×
× × × ×
×
× ×


例1-1:フレーム1プライマリインターコネクトモジュール障害

フレーム1のプライマリインターコネクトモジュール障害が発生した場合は、①と④の通信経路が遮断され、
フレーム1およびフレーム2上のコンピュートモジュール共に片系通信断となります。
しかし②と③の通信経路は問題ないため、継続してデータ通信が可能です。
例1-1.png

例1-2:フレーム2プライマリインターコネクトモジュール障害

フレーム2のプライマリインターコネクトモジュール障害が発生した場合は、例1-1と逆に②と③の通信経路が遮断され、
フレーム1およびフレーム2上のコンピュートモジュール共に片系通信断となります。
しかし①と④の通信経路は問題ないため、継続してデータ通信が可能です。

例1-2.png

例2-1:フレーム1サテライトインターコネクトモジュール障害

フレーム1のサテライトインターコネクトモジュール障害が発生した場合は、②の通信経路が遮断され、
フレーム1上のコンピュートモジュールのみ片系通信断となりますが、例1-2と同じように継続してデータ通信は可能です。
フレーム2上のコンピュートモジュールの通信経路には影響がないため、③④でデータ通信が可能です。
例2-1.png

例2-2:フレーム2サテライトインターコネクトモジュール障害

フレーム2のサテライトインターコネクトモジュール障害が発生した場合は、④の通信経路のみ遮断され、
フレーム2上のコンピュートモジュールのみ片系通信断となりますが、
フレーム2上のプライマリインターコネクトモジュール側で問題なくデータ通信可能です。
そしてフレーム1上のコンピュートモジュールの通信経路に影響はないため、①②でデータ通信が可能です。

例2-2.png

例3:フレーム1のサテライトインターコネクトリンクポート1に接続したケーブル障害

フレーム1のサテライトインターコネクトリンクポート1に接続したケーブルで障害が発生した場合は、
前述の例2-1と同じように②の通信経路のみが遮断された状態となります。
結果例2-1と同じ通信経路状態となり、フレーム1上のコンピュートモジュールで片系通信断が発生するに留まります。

例3.png

例4:フレーム1のサテライトインターコネクトリンクポート2に接続したケーブル障害

フレーム1のサテライトインターコネクトリンクポート2に接続したケーブルで障害が発生した場合は、
①~④で記した通信経路全て影響なく、片系通信断も発生しません。
しかし、サテライトインターコネクトモジュールで採用した機器によっては、
フレーム1のサテライトインターコネクトリンクポート1を通るデータ通信速度が遅くなる場合があります。

例4.png

例5:フレーム1のサテライトインターコネクトリンクポート1と2に接続したケーブル障害

例3と例4が併発した場合、前述の例2-1と同じように②の通信経路のみが遮断された状態となります。
結果例2-1と同じ通信経路状態となり、フレーム1上のコンピュートモジュールのみが片系通信断となります。

例5.png

最後に

今回はHPE Synergyの2フレーム構成を簡易的に想定して、
障害発生時にデータ通信経路がどのように確保されているかの一例をご紹介させていただきました。
ラックマウントサーバと違い、複雑な様相を呈するコンポーザブル・インフラストラクチャ「HPE Synergy」ですが、
サーバラックに収まるフレームの内側で何が起きているか、想像する際の一助となれば幸いです。

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