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Veeam Backup & ReplicationとVeeam Backup for Azureの連携その1(設定)

はじめに

「Veeam Backup & Replication」(以下「VBR」と表記)といえば、仮想化環境を中心としたインフラ環境のバックアップ製品として有名ですが、クラウド環境のバックアップについても、別製品で対応しております。ここでは、クラウドとしてAzure環境を取り上げ、Veeam社の「Veeam Backup for Microsoft Azure」について、説明します。

Veeam Backup for Microsoft Azureとは?

「Veeam Backup for Microsoft Azure」(以下「VBMA」と表記)は、Microsoft Azure専用に最適化されたVeeam社のバックアップソリューションです。
Azure Marketplaceから簡単に導入でき、Azure仮想マシン(VM)のバックアップやリストアを柔軟に実行できます。
主な特長は以下となります。

  • Azureネイティブなアーキテクチャ
    VeeamはAzureのAPIを活用してスナップショットとバックアップを取得するため、Azureのベストプラクティスに準拠した運用が可能です。
  • 多様な復元オプション
    VM全体のリストアだけでなく、ファイルレベルの復元や別リージョン/別サブスクリプションへの復元にも対応しています。
  • コスト最適化設計
    Azure Blobストレージ(Hot/Cold)を選択でき、ストレージコストを抑える構成も可能です。
  • Veeam Backup & Replicationとの統合
    オンプレミスや他クラウドと併用する場合、Veeam本体と連携させて統合的なバックアップ管理も行えます。
  • セキュリティとコンプライアンス
    バックアップデータは暗号化され、不正アクセスから保護されます。また、不変バックアップの対応も可能です。
  • 簡単な復旧オプション
    必要な時にすぐにデータを復元可能。ポイントインタイムリカバリやファイル単位の復元など、柔軟な復旧オプションを備えています。

Azureのバックアップツールでは、Azure Backupがあります。
Azure BackupはMicrosoft純正のサービスで、Azure環境に統合されているため、シンプルな管理が可能です。
一方、Veeam Backup for Azureはより柔軟な復元オプションやコスト最適化機能を備えており、特にエンタープライズ向けの高度なバックアップ戦略に適しています。

VBRとVBMAの連携

今回はオンプレの Veeam Backup & ReplicationVeeam Backup for Microsoft Azureの連携をしてみたいと思います。
Veeam Backup & ReplicationとVeeam Backup for Microsoft Azureを連携することで、以下の機能を実行できます。

  • VBRサーバからVBAのコンソールにアクセスする
  • VBRで取得したバックアップをAzureBlobに保存する
  • VBRで取得したバックアップをAzure側にコピーする
  • VBRサーバのバックアップをAzure側にリストアする
  • Azure側のバックアップをオンプレ側レポジトリにコピーする
  • Azure側のバックアップをオンプレ側にリストアする

それぞれの詳細については次回で説明しますが、連携環境を構成することでオンプレとAzureのハイブリッド環境でのバックアップ・リストアオペレーションの一元化、またバックアップデータの共有が可能になります。

VBMAのインストールについて

ここでは、簡単にVBMAのインストールで注意すべきことについてご紹介します。
VBMAにはAzure VM10台までバックアップ可能な無償版の「Veeam Backup for Microsoft Azure Free Edition」とフル機能を実装した「Veeam Backup for Microsoft Azure BYOL Edition」(30日間無償トライアル可能)の2つがあります。
どちらのインストールもAzure MarketPlaceから実施できます。
インストールそのものはそこまで難しいものではないですが、インストール及び環境設定において、以下の情報が必要になるため、事前に用意しておく必要があります。

項目 説明
リソースグループ Veeam Backup for Microsoft Azure の仮想アプライアンスを含めるリソースグループ
仮想ネットワーク(VNet) 仮想マシンをデプロイするために事前に作成しておく必要あり。
ストレージアカウント バックアップ保存先。
仮想マシン名 VBMAが稼働するVMの名称
VBMAの管理者アカウント情報 管理アカウント名とパスワード
Azure アカウント(バックアップ対象への接続用) サービスアカウントを作成するか、既存のアカウントを使用(Veeam側で登録して使用)。
バックアップ保存用のリポジトリ情報 ストレージアカウント(コンテナ名/フォルダ名(必要に応じて))

連携するための環境設定

ここでは、実際にVBRVBMAを連携するためのオペレーションについてご紹介します。

VBRとVBMAの連携作業は、基本的にVBR側で行います。その際。VBMA側の以下の情報が必要です。

  • VBMAアプリのテナントID
  • VBMAアプリのアプリケーションID
  • ストレージアカウント
  • VBMAアプライアンスの仮想マシン名

VBRの「Backup Infrastructure」にて、「Managed server」を右クリックし、「Add server...」を選択します。
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Add Server」にて、「Veeam Cloud-Native backup appliance」を選択します。
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Veeam Backup for Microsoft Azure」を選択します。
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既にVBMA環境が構築されているので、「Connect to an existing appliance」を選択します。ここで1から作成することも可能です(その場合、Azure MarketPlaceの画面が開きます)。「Next」をクリックします。
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Azure Commpute Accountの名称を入力し、「Next」をクリックします。
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Azureの環境として「Micorosost Azure」を選択します。Regionは環境に合わせて選択します。 「Next」をクリックします。
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既存のアプリ(アカウント)を利用するため、「Use the existing account」を選択します。「Next」をクリックします。
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アプリ(アカウント)のテナントID/アプリケーションID/シークレットキーを入力し、「Next」をクリックします。
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サマリ画面が表示されます。「Finish」をクリックします。
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Compute Accountが設定されます。「Next」をクリックします。
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VBMAが存在しているサブスクリプションと、リージョンを設定し、「Next」をクリックします。
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VBMAアプライアンスのVM名を設定し、「Next」をクリックします。
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環境にあわせ、ネットワークの接続タイプを設定し、「Next」をクリックします。
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VBMAアプライアンスの管理アカウント情報(ユーザ名とパスワード)を設定します。「Next」をクリックします。
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VBMAアプライアンスに登録されているレポジトリの情報が表示されます。「Credentials」が「Not Set」になっている場合、設定を行うために、「Edit」をクリックします。
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VBMAアプライアンスが利用しているレポジトリのストレージアカウントのアカウント名と共有キーの情報を入力します。
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レポジトリに保存されているバックアップが暗号化されている場合、その解読のためのパスワードを設定し、「OK」をクリックします。
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VBMAアプライアンスとレポジトリが、VBRサーバに登録されます。「Next」をクリックします。
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構成のサマリ画面が表示されますので、確認の上、「Finish」をクリックします。
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以下のように、VBMAアプライアンスが登録されていることがわかります。
20.png

また、VBMAアプライアンスに登録されているレポジトリが構成されていることも確認できます。
21.png

また、VBMAアプライアンスにVBMAで保存したバックアップの確認ができることもおわかりいただけると思います。
22.png

いかがでしょうか?非常に簡単にVBRサーバとVBMAアプライアンスの一元化ができることをおわかりいただけたと思います。
次回は、連携したあと、具体的になにができるようになるのか、について紹介いたします。

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