はじめに
こんにちは。2025年4月入社のA.Tです。
私は、4月からの新人研修で、インフラやクラウドについての基礎知識を学んできました。
入社直後はコンテナどころかクラウドに関する知識もほぼ0...という状態でしたが、研修を通じて少しずつ理解できるようになりました。
そこで今回は、自分自身の理解を整理する意味も込めて、コンテナとは何か?また、AWSコンテナサービスについて、わかりやすくをモットーにまとめてみました。
コンテナとは?
コンテナとは、アプリケーション実行に必要な環境ごとパッケージ化するための技術のことを指します。 アプリケーション本体だけでなく、ライブラリや設定ファイルなど、実行に必要なすべてをひとまとめにした"箱"のようなものです。
そのため、どこで動かしても同じように動作する再現性の高さがメリットの一つであるといえます。 たとえば、開発者のパソコンで動作していたアプリを、そのまま社内のテスト環境やクラウド上でも同じように動作させることができます。
それによって、「環境を変えたら動かない」というようなトラブルを回避することが可能になります。
Dockerとは?
Docker(ドッカー)は、コンテナ技術を誰でも手軽に扱うことができる最も代表的なコンテナプラットフォームです。 Dockerを使えば、以下の作業が簡単に行えます↓
世界中の開発現場や企業で標準的に使われており、AWS のコンテナサービスとも密接に連携して利用することができます。
AWSのコンテナサービス
AWSでは、コンテナを簡単かつスケーラブルに運用できるようにするためのマネージドサービスを提供しています。 ここでは代表的な3つをご紹介します。
①Amazon ECS(Elastic Container Service)
Amazon ECSは、AWSが提供するフルマネージドのコンテナオーケストレーションサービスです。 ECSでは、複数のコンテナをグループ化し、それらの起動・停止・スケーリングを自動で管理できます。
実行環境にEC2インスタンスを使う方法と、サーバーレスのFargateを使う方法があります。 (Fargateの説明は後ほど!)
〈特徴〉
• AWSに特化して最適化されているため、AWSの各種サービス(IAM、VPC、CloudWatch、ALBなど)との連携に優れている • シンプルな設定で始めやすく、初心者にも扱いやすい
>ECSは、すぐに本番環境でコンテナアプリケーションを動かしたい人や、小〜中規模のシステムに適しています。
②Amazon EKS(Elastic Kubernetes Service)
EKSについて記載する前に、そもそもKubernetesとは何かについて、私の理解をまとめてみようと思います。
Kubernetes(クバネティス)とは、Googleが開発したコンテナを効率よく管理・運用するためのオープンソースのプラットフォームのことを指します。 複数のコンテナをまとめて「どこで・いつ・どのように動かすか」を自動で制御します。
たとえば、 ・アプリの負荷に応じてコンテナ数を自動で増減(スケーリング) ・障害があれば自動で再起動や再配置(自己修復) ・コンテナ間の通信やロードバランシングの管理 ・アプリのバージョン更新(ローリングアップデート) などを自動で行います。 ★Kubernetesを用いると、クラウドだけでなくオンプレミス(自社サーバ)でも動かすことができるため、柔軟性と拡張性に優れたインフラ構築が可能になります。
それでは、以上を踏まえてEKSの概要をまとめます。 Amazon EKSは、Kubernetesというオープンソースのコンテナオーケストレーションツールを、AWS上で利用できるマネージドサービス。 ECSより複雑で大規模なシステムの運用、クラウド間の移行やオンプレミスとの統合にも柔軟に対応することができます。
〈特徴〉
• Kubernetesの標準的なエコシステムやツールが利用可能 • マルチクラウド/ハイブリッドクラウド構成に強い • ECSよりも高度なカスタマイズや自動化が可能 >すでにKubernetesを利用している企業や、大規模なシステムの構築・運用を目指す場合に適しています。
③AWS Fargate
AWS Fargateは、サーバーレスのコンテナ実行環境のことです。 ECSやEKSと連携して使い、実際のサーバー(EC2インスタンス)の準備や管理を行うことなく、コンテナを動かすことができます。
〈特徴〉
• インフラ管理なし。コンテナの中身(アプリ)だけに集中可能 • 必要に応じて自動でリソースがスケーリングされる • OSやセキュリティパッチの管理も不要(AWSが管理してくれます) >Fargateを用いることで、運用負荷を減らし、アプリ開発に集中することができます。
AWSコンテナサービスを利用するメリット・デメリット
メリット
①スケーラビリティと高可用性
• AWSのインフラはグローバルに分散されており、コンテナの自動スケーリングやマルチAZ対応が容易です。 • トラフィックの増減に応じて、コンテナ数を自動で増減できるため、パフォーマンスとコストの最適化が可能です。
②フルマネージド運用
• ECSやEKSはマネージドサービスなので、クラスタ管理やアップグレード、障害対応の多くをAWSが自動で処理してくれます。 • Fargateを使えば、EC2インスタンスのプロビジョニングやパッチ管理も不要になります。
③他のAWSサービスとの親和性が高い
• IAM(認証・認可)、VPC(ネットワーク)、CloudWatch(監視)、ALB(ロードバランサー)などの、AWSの各種サービスとスムーズに連携できます。 • セキュリティや監視が管理しやすくなります。
④インフラの柔軟な選択肢
• 自前のEC2でカスタム構成を組みたい場合はECS/EKS on EC2。 ・運用を減らしたい場合はFargate。 ・Kubernetesベースでマルチクラウド対応が必要ならEKS。 ...など要件に応じて選択可能。
⑤コスト効率の良さ
• 必要なコンテナだけを実行でき仮想マシンよりもコスト効率が高いケースも。 • Fargateは使った分だけ課金されるので、小規模な運用にも向いています。
デメリット(注意すべき点)
① 学習コスト
• コンテナ技術(Docker、イメージ、ボリュームなど)への知識の習得が必要です。 • EKSを使う場合、Kubernetesの学習が難しいため、初心者向けではないかも...
②トラブルシューティング
• コンテナは一時的かつ分散的なリソースであるため、ログの追跡やデバッグが難しいことがあります。 • CloudWatch LogsやX-Rayなどのサービスと連携してログを設計的に収集する必要があります。
③料金体系が複雑
• EC2を使った場合はインスタンス料金+EBS+他のAWSサービスの料金。 • Fargateは簡単ですが、使い方によってはEC2よりも高コストになる場合も(特に常時稼働の場合)。 • モニタリングやログ出力のコストも考慮する必要あり...
④カスタマイズ性の低さ(特にFargate)
• Fargateはサーバレスで自身での管理が不要なことから、カーネルモジュールの変更や特殊なOS設定ができません。 • ネットワークやボリュームに細かく手を入れたい場合はEC2ベースのECS/EKSの方が適しています。
⑤ベストプラクティスがやや複雑
• モノリシックなアプリをそのままコンテナ化すると、可用性やスケーラビリティが逆に低下する可能性も。 • コンテナに適した設計(マイクロサービスなど)を意識する必要があります。
まとめ
AWSのコンテナサービスは、アプリを早く、安全に、効率よく動かすための仕組みであるといえます。 コンテナを活用できれば、開発スピードが上がり、システムの安定性の向上が見込めます。 実際にコンテナの構築手順をまとめている「コンテナ作ってみた」ブログも併せてご覧ください!