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Oracle KVM 要件と構築について

初めに

インフラ技術部のIです。
前回はOracle KVMとOLVMの概要について投稿させて頂きました。
Oracle KVMとOLVMについて

※まだご覧になられていない場合、ぜひご覧ください!

今回は前回に続き、Oracle KVMの構築について要件や手順を解説していきます。
対象となる箇所は以下画像の赤丸部分となります。

7 - コピー.png6 - コピー.png

環境

今回ご説明するにあたり使用したOSやOLVM(ovirt)のバージョンを以下に示します。

製品 バージョン
Oracle Linux 8.8
KVM Version 6.1.1 - 8.module+el8.8.0+21161+70fb2747

Oracle KVM要件

セルフホステッドエンジン方式とスタンドアロン方式においてのOracle KVMの最低要件を以下に示します。

Oracle KVMの要件詳細は以下Oracle公式サイトよりご確認ください。
3.Requirements and Scalability Limits
自己ホスト・エンジンの前提条件

また、Oracle KVMと物理機器の互換性については以下のサイトをご確認ください。
[Search]欄へ機器名を入力して頂くか、[Filter]より対象製品を選択してください。
Hardware Certification List

共通

項番 要件
1

Oracle Linux 8.5以上

Unbreakable Enterprise Kernel Release 5 Update 1 (以降) または Unbreakable Enterprise Kernel Release 6 を搭載した Oracle Linux 7.6 以降

2 Unbreakable Enterprise Kernel Release 6、Unbreakable Enterprise Kernel Release 7、または Red Hat 互換カーネル
3 OSインストール時のベース環境は"最小インストール"を選択すること
4 64ビットデュアルコアCPU
推奨:複数の CPU
Intel VT-x または AMD AMD-V ハードウェア仮想化拡張機能をサポートし、ホストの BIOS で拡張機能が有効になっている必要があります。CPU は No eXecute フラグ (NX) もサポートする必要があります
5 1 Gbps のネットワーク インターフェイス カード (NIC) 1 枚
推奨:少なくとも 1 Gbps の帯域幅を持つ 2 つ以上の NIC
6 以下ディスク要件を満たしていること
(対象ディレクトリ:サイズ)
/:30GB
/boot:1GB
/var:29GB

上記に加えて、セルフホステッドエンジン方式でOLVMをデプロイする場合は以下追加要件がありますのでご注意ください。

(セルフホステッドエンジン方式)

項番 要件
1 2台以上のKVM Host
2 完全修飾ドメイン名による名前解決設定
3 Oracle KVMに5 GB以上の/var/tmpディレクトリが存在していること
4 OLVM用のストレージドメインとして使用する74GiB以上のストレージ領域(glusterfs, iscsi, fc, nfs)が準備できていること
5 Oracle KVMがyum.oracle.comへアクセスが可能であること
6 firewalld.serviceが有効で且つ起動していること

要件としては以上となりますが、OLVM導入方式をどちらにするかで必要となる要件も異なるという点に注意する必要があります。

構築手順

Oracle LinuxのインストールやIP設定、名前解決などの設定は既に完了している前提で進めさせて頂きます。
また、手順詳細については以下のOracle KVM公式サイトをご確認ください。
KVMホストの準備
コマンドラインを使用したデプロイ

Oracle KVMセットアップ-スタンドアロン方式

1."dnf-utils"インストール
※dnf config-managerコマンドを実行するために必要となるパッケージとなります。
# dnf install -y dnf-utils

2.yumリポジトリ"ol8_baseos_latest"有効化
# dnf config-manager --enable ol8_baseos_latest

3.OLVM4.4パッケージインストール
# dnf install -y oracle-ovirt-release-el8

4.キャッシュクリア
# dnf clean all

5.有効化リポジトリの確認
# dnf repolist

以下に示すリポジトリが有効化されている必要があります。
ol8_baseos_latest
ol8_appstream
ol8_kvm_appstream
ol8_ovirt44
ol8_ovirt44_extras
ol8_gluster_appstream
(VDSMの場合) ol8_UEKR7

5-1.有効化されていないリポジトリが存在する場合は下記コマンドで有効化
# dnf config-manager --enable <Repository>

以上でスタンドアロン方式用のOracle KVMセットアップは完了となります。

Oracle KVMセットアップ-セルフホステッドエンジン方式

1."dnf-utils"インストール
※dnf config-managerコマンドを実行するために必要となるパッケージとなります。
# dnf install -y dnf-utils

2.yumリポジトリ"ol8_baseos_latest"有効化
# dnf config-manager --enable ol8_baseos_latest

3.OLVM4.4パッケージインストール
# dnf install -y oracle-ovirt-release-el8

4.yumキャッシュクリア
# dnf clean all

5.有効化リポジトリの確認
# dnf repolist

以下に示すリポジトリが有効化されている必要があります。
ol8_baseos_latest
ol8_appstream
ol8_kvm_appstream
ol8_ovirt44
ol8_ovirt44_extras
ol8_gluster_appstream
(VDSMの場合) ol8_UEKR7

5-1.有効化されていないリポジトリが存在する場合は下記コマンドで有効化
# dnf config-manager --enable <Repository>

6.デプロイ・ツールとエンジン・アプライアンスのインストール
# dnf install ovirt-hosted-engine-setup -y
# dnf install ovirt-engine-appliance -y

以上でセルフホステッドエンジン用のOracle KVM準備は完了となりますが、スタンドアロン方式と異なる点として、
最後にデプロイ用のツールのインストールが必要となります。

最後に

OLVMを使用するにあたり、必須となる仮想基盤のOracle KVMを準備するために必要な要件、手順のご紹介でした。
Oracle KVMのセットアップは簡単かと思われてしまうかもしれませんが、上記はあくまでも必要最低限の設定となります。
上記に加えて各企業様の設定などを追加していき、問題なく動作するかを確認した上でOLVMの導入が必要となります。

Oracle KVMやOLVMの技術的な問題やお見積もりなど、具体的なご要望がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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