●はじめに
今回はサイトサーベイついて記載いたします。
サイトサーベイとは、専用のツールを用いて無線LAN導入前後に行う電波調査のことをいいます。
これにより、目には見えない電波を可視化することができます。
この調査の目的としては、導入前と後とでは異なるため、一つずつ説明いたします。
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●事前サイトサーベイの目的
導入前の調査の目的としては、無線LAN使用エリアにて、どのような外来波が来ているかを確認します。
また机上だけで無線LANを設計してしまうと、想定通り電波が行き渡らず、アクセスポイントの移動/追加作業は発生する恐れがあるため、調査を行います。
調査結果を基に、改めてアクセスポイントの設置数や位置、場合によってはチャネルや電波出力の調整を行います。
●事後サイトサーベイの目的
導入後の調査の目的としては、改めて設計に支障がないかを確認いたします。
また電波状況を可視化することにより、クライアントに現状の電波到達範囲を報告するのに使用いたします。
●サイトサーベイツールについて
電波調査には専用ツールが必要です。
その中でも主に使用されるものを紹介いたします。
・Ekahau AI Pro
・AirMagnet(リース有)
使用感についてはどちらも大きく違いはない印象でした。
●事前サイトサーベイの調査方法/必要な機材について
事後サイトサーベイでは、APが設置されているのでサーベイツールさえあればいいですが、事前はそうはいきません。
そのため様々なやり方で事前サイトサーベイを行う方が多いです。その中でも特徴的なやり方を二つご紹介いたします。
サーベイツールの使用方法については、購入/レンタル時に説明書がつきますので、そちらをご確認ください。
1.床置き
これはAPを床に置いてサイトサーベイを実施するやり方です。
経験則として、このパターンで実施する傾向が多いです。
これはお客様のコンセントをお借りする必要があるため、調査エリア内に電気が通っていることが前提になります。
使用する機材は以下です。
・電源ドラム
・PoESW
・AP(複数台)
・ケーブル(必要数)
APを複数台同時に立ち上げることで、一気にサイトサーベイを実施するやり方になります。
メリットとしては、一回で広範囲取ることができます。
デメリットとしては、移動時に電源元を変えるために、調査前に都度5分程度APの起動を待つ必要があります。
また会議室が並ぶエリアにて実施するときに、各会議室にAPを配置して一気に調査する場合、ケーブルのせいで扉が少し空き、完全に密閉された状態で調査することができません。
加えて電波は弧を描いて飛ぶため、天井に設置する想定に対して床に置いてしまうと、少なからず範囲に誤差が生じます。
お客様のコンセントと繋がれる以上、届く範囲に限界があることも場合によってはデメリットになるかもしれません。
2.ポール
これはAPをポールに繋いでサイトサーベイを実施するやり方です。
使用するポールにもよりますが、これを使用すれば設置後のような形でAPを配置できます。
このパターンで実施するさいには、お客様のコンセントを借用せず、大容量のポータブル電源から電源を供給しておりました。
この場合ですと、まだ電気が通っていない場所も調査することができます。
使用する機材は以下です。
・ポール
・大容量ポータブル電源
・AP(1台)
・ケーブル(必要数)
APの再起動を待つ必要がないため、次々とポイントを移動しながらサイトサーベイを実施するやり方になります。
メリットとしては、再起動がないため待機時間なく取得することができます。
また個室などを調査する際には、密閉状態での電波調査を行うことができます。
デメリットとしては、各ポイントごとに調査するため、一度調査したエリアの一部を被せて調査することになります。
またポールを天井付近まで伸ばすため、移動時には天井にぶつからないように注意して運ぶ必要があります。
場合によっては少しポールを短くして持ち運ぶ必要もあるため、慣れるまでは想像しているよりもスムーズにはいかないかもしれません。
加えてポータブル電源の重量はかなりあるため、それを持ち運ぶにはある程度の体力を求められます。
台車の使用も検討してもいいかもしれませんが、フロア移動が多いと台車の運搬もまた一苦労です。
他にもお客様のコンセントを借用しつつ、ポールにAPを取り付けて取得するやり方もあるかと思いますが、
私自身実施経験がなく、加えて一度も調査依頼した複数の会社から上がらなかったやり方のため、今回は割愛いたします。
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●さいごに
サイトサーベイを実施することはあまりないかと思いますが、本記事がいつか訪れた際の一助となれれば幸いです。