こんにちは。インフラ技術部 T.Mです。
2026年10月1日~2日、シンガポールのRaffles City Convention Centreで開催された「VMware Explore on Tour in Singapore 2026」に参加しました。会期中は、当ブログや公式X・Instagramで現地の様子をリアルタイムにお届けしてきました。
本記事はその締めくくりです。セッションの内容をなぞるのではなく、「現地で見聞きしたことを、私たちが日々携わっている移行・構築の現場にどう持ち帰るか」という視点で、2日間を総括します。
VMware Explore on Tour in Singapore 2026 の会場スクリーン
2日間で受講したセッション
参加メンバーで手分けして、基調講演・ブレイクアウトセッション・ハンズオンラボに参加しました。
| 日付 | セッション | テーマ |
| 10/1 | Shaping the Future of Private AI Cloud and Agentic Innovation [PLE1837SG] | 基調講演 |
| 10/1 | A Deep Dive: What's New for VMware vSphere in VMware Cloud Foundation 9.1 [EOT1082SG] | VCF 9.1新機能 |
| 10/1 | Avoiding the RAM-pocalypse: Unlock Total Cost of Ownership Savings with VMware Memory Tiering [EOT1046SG] | メモリ階層化 |
| 10/1 | Accelerating AI: Mastering GPU on VMware Cloud Foundation [EOT1237SG] | プライベートAI/GPU |
| 10/1 | Design & Architecture: Managing and Operating a Private Cloud [EOT1145SG] | プライベートクラウド運用 |
| 10/1 | 【ハンズオンラボ】VCF 9.1 From First Login to Confident Control [ELW-HOL-2704-01A] | VCF 9.1運用(実機演習) |
| 10/1 | Lateral Security Simplified: The VMware vDefend Distributed Firewall 1-2-3-4 Security Journey [EOT1247SG] | セキュリティ |
| 10/1 | Tips and Tricks for Running VMware Cloud Foundation 9.1 in Lab/PoC [EOT1613SG] | ラボ/PoC環境構築 |
| 10/1 | New, Converge, or Import: Deciding Your VCF 9.1 Approach [EOT1004SGS] | 移行方式 |
| 10/1 | Broadcom Runs on VMware vSphere Kubernetes Service, Containers at Scale, and How to Operate Them Internally [EOT1286SG] | コンテナ基盤(VKS) |
| 10/1 | Conquer the 2026 Hardware Crisis: VMware Cloud Foundation 9.1 Optimization Strategies [EOT1266SG] | ハードウェア最適化 |
| 10/2 | A Look into the New Features for Memory Tiering in VMware Cloud Foundation 9.1 [EOT1153SG] | メモリ階層化 |
| 10/2 | 【ハンズオンラボ】Planning and Executing the Transition to VCF 9.1 [ELW-HOL-2704-05-VCF-S] | 移行計画(実機演習) |
| 10/2 | What Is New in VMware Cloud Foundation 9.1 Security and Compliance [EOT1187SG] | セキュリティ |
| 10/2 | Lifecycle Management in VMware Cloud Foundation 9.1 for VMware vSphere Admins [EOT1568SG] | ライフサイクル管理 |
各セッションの詳しい内容は、会期中に公開した次の記事でご紹介しています。
- 【VMware Explore on Tour Singapore 2026】VMware歴10年超のエンジニアがシンガポール現地からレポート!
- 【VMware Explore on Tour Singapore 2026】基調講演レポート ― AI Factoryの発表とハードウェア危機への処方箋
- 【VMware Explore on Tour in Singapore 2026】VCF 9.1への移行を成功に導くポイント【セッションレポート】
会場の雰囲気は、公式X(@reqtc)・Instagram(reqtc)でもお届けしました。
現地で感じた、3つの大きな変化
2日間を通して、どのセッションにも共通していたテーマは「AI」「ハードウェア高騰」「セキュリティ」の3つでした。私たちが移行や構築をご支援するうえでも、無視できない変化です。
1. プライベートAIが"本番"のフェーズへ
基調講演では、コストやデータ主権を理由にワークロードがプライベートクラウドへ戻る流れが強調されました。GPUセッション(EOT1237SG)で紹介されたBroadcomとRadius Techの調査(2026年2~3月、8か国のIT意思決定者1,800名が対象)では、本番環境でのAI利用や推論処理をプライベートクラウドで実行、または計画している企業が56%(1年前は41%)にのぼります。こうした需要に応えるため、ハードウェアからモデルまでを一体で提供する「VMware AI Factory」が発表されました。
一方で、GPUの平均稼働率は約15%(Cast AI, 2026)にとどまるというデータも示されており、高価なGPUをいかに共有・有効活用するかも大きなテーマになっていました。
VMware AI Factoryの発表スライド
出典:Broadcom. "Shaping the Future of Private AI Cloud and Agentic Innovation [PLE1837SG]". VMware Explore on Tour in Singapore 2026.
2. ハードウェア高騰は"構造的な問題"
基調講演と関連セッションでは、AI需要によってDRAM価格が2026年に最大270%上昇するという予測(TrendForce)や、GB単価で見るとDRAMはNVMeの35~40倍という比較が示されました。メモリ階層化のセッションでは「サーバーの見積が、稟議を通している間に3倍になった」という顧客事例も紹介され、一時的な値上がりではなく、AI需要が引き起こした構造的な変化として捉える必要があると繰り返し語られていました。
その対策として、次の3つが示されました。
- 既存サーバーでVCF 9.1を使う(8.x認定サーバーの90%以上が9.xでも認定)
- NVMeメモリ階層化
- vSANの重複排除・圧縮

DRAM価格上昇とGPU稼働率を示すスライド
出典:Broadcom. "Shaping the Future of Private AI Cloud and Agentic Innovation [PLE1837SG]". VMware Explore on Tour in Singapore 2026.
3. AIが攻撃を"数時間単位"に加速させる
セキュリティの話題は、基調講演、vDefend、9.1のセキュリティ強化の3つのセッションで繰り返し登場しました。基調講演では「フロンティアAIによって、攻撃者は数週間ではなく数時間で動く」と語られています。脆弱性の発見から悪用までのスピードが一気に上がっているため、VCF 9.1は次のような対策を前提に設計されています。
- 月次のセキュリティパッチ
- ESX(旧ESXi)/vCenter/NSX Managerのライブパッチ(再起動なしでの修正適用。脆弱性修正の8割以上をライブパッチで提供することが目標)
- ESX自体の堅牢化
- 耐量子暗号への取り組み(2027年の提供を見込む計画段階)
あるセッションでは「CVSS 9.8級の修正を3週間未満で適用できる顧客はほとんどいない」という指摘もありました。技術だけでなく、パッチを当てる運用プロセスそのものの見直しが求められていると感じました。

ESXを再起動せずに更新するライブパッチの流れ
出典:Broadcom. "What Is New in VMware Cloud Foundation 9.1 Security and Compliance [EOT1187SG]". VMware Explore on Tour in Singapore 2026.
移行・構築の現場に持ち帰りたい5つのこと
ここからが本記事の本題です。私たちインフラ技術部は、オンプレミス環境からの移行や新規基盤の構築を、提案から設計・構築・試験、そして運用まで一貫してご支援しています。その立場から、2日間で得た学びを「明日からの実務」に落とし込みました。
1. VCF 9.1への移行は「バージョンアップ」ではなく「変換」として計画する
vSphere 8.xの環境は、アップグレードボタン一つでVCF 9.1になるわけではありません。まず管理ドメインにするvCenterを決めてConverge(変換)し、残りのvCenterはワークロードドメインとしてImportする、という手順を踏みます。VCF Operationsや、Kubernetesベースの新しい管理基盤(VCF Management Services)も加わるため、構成も運用も変わります。2日目のハンズオンラボでも、この「構成の違い」を実機で確かめることができました。
また、出発点によって取れる経路が変わる点にも注意が必要です。たとえばVCF 9.1へアップグレードできるのはVCF 5.2.xと9.0.xからで、VCF 4.xの環境は先に5.2.xへの移行が必要です(出典:Broadcom KB 440630)。さらに、今のバージョンより"後に出た"バージョンにしか上げられないという「Back-in-Time」の制約もあり、たとえばVCF 5.2.4からは9.1.0ではなく9.1.1以降へ上げることになります。経路は、VCF Upgrade Plannerや相互運用性マトリクスで事前に確認しておくことが重要です。
VCF 9.1 Convergenceによる管理ドメインへの変換
出典:SYSTEX ASIA. "New, Converge, or Import: Deciding Your VCF 9.1 Approach [EOT1004SGS]". VMware Explore on Tour in Singapore 2026.
2. 移行アセスメントの"落とし穴チェック"を事前に行う
実案件の教訓として紹介された項目は、そのまま私たちのアセスメントのチェックリストに加えたい内容でした。
- Converge/ImportにはVDS(vSphere Distributed Switch、8.0以上)が必須。標準スイッチのみの環境はそのままでは取り込めません
- 10GbEの要件(新規構築では必須、Converge/Importでも推奨。ESX管理トラフィックのみ1GbEも可)
- アップグレードの順序(メジャー/マイナーバージョンアップ時):VCF Operations → 管理コンポーネント → 管理ドメイン → ワークロードドメイン
- 新しい管理コンポーネントのためのIPアドレス・FQDN・リソースの確保(9.1.1では、Medium HA構成で9.1比CPU 25%減・メモリ18%減と、リソース要件が削減されました)
VDSと10GbEの要件
出典:SYSTEX ASIA. "New, Converge, or Import: Deciding Your VCF 9.1 Approach [EOT1004SGS]". VMware Explore on Tour in Singapore 2026.
3. 移行は「手順」だけでなく「リスク管理」で決まる
ハンズオンラボでは、アップグレードの6つのステップに加えて、移行プロジェクトで想定すべきリスクとその対策(Risk Register)も共有されました。主な項目を次の図にまとめています。

移行プロジェクトで想定すべきリスクと対策
出典:Broadcom. "Planning and Executing the Transition to VCF 9.1 [ELW-HOL-2704-05-VCF-S]". VMware Explore on Tour in Singapore 2026. をもとにRe:Qが作成
どれも、私たちが実際の移行案件で重視している観点と一致しており、これまでの取り組みの方向性に自信を深めることができました。
4. 「買い替えない」選択肢を本気で検討する
ハードウェアの調達が難しい今、既存サーバーを活かしたままVCF 9.1へ移行する計画は現実的な選択肢です。なかでもNVMeメモリ階層化は、9.1でNVMeのソフトウェアミラーリングに対応し、本番環境で使いやすくなりました。
セッションでは、アクティブメモリが10~15%程度だった大手顧客の事例も紹介されました。評価ツールのMTAT(Memory Tiering Assessment Tool)を使えば、既存環境のどのクラスタが候補になるかを事前に確認できます。まずは検証から始めたいと考えています。

VCF 9.1で追加されたNVMeのソフトウェアミラーリングと適用の目安
出典:Broadcom. "A Look into the New Features for Memory Tiering in VMware Cloud Foundation 9.1 [EOT1153SG]". VMware Explore on Tour in Singapore 2026. をもとにRe:Qが作成
5. セキュリティは「段階的に」「運用とセットで」
vDefendの分散ファイアウォールは、監視モードで影響を確かめながら4段階で保護を広げていけるため、既存環境にも段階的に導入しやすい仕組みです。月次パッチやライブパッチとあわせて、パッチ適用の変更管理プロセスも見直すことをご提案していきます。

vDefend分散ファイアウォールの段階的な導入
出典:Broadcom. "Lateral Security Simplified: The VMware vDefend Distributed Firewall 1-2-3-4 Security Journey [EOT1247SG]". VMware Explore on Tour in Singapore 2026. をもとにRe:Qが作成
参加メンバーの所感
H.I(インフラ技術部)
AI Factoryの発表は華やかでしたが、それ以上に印象に残ったのは、ハードウェア危機への処方箋が具体的だったことです。10年以上VMware環境に携わってきた立場から見ても、既存サーバーの延命やメモリ階層化は、検証する価値のある現実的な一手だと感じました。
N.A(インフラ技術部)
VCF 9.1は従来のvSphereと構造や概念から異なり、vSphere 8からの単純な移行ができないことを改めて認識しました。まずは環境の洗い出しから準備を進めるべきだと感じました。考慮すべき点は多いですが、Broadcom公式ドキュメントを活用し、移行ポイントなど理解を深めていきたいと思います。
T.M(インフラ技術部)
VCF 9.1は新機能が盛りだくさんで、2日間はあっという間でした。なかでも、お客様への提案で真っ先に活かしたいと感じたのは、9.1から始まる月次のセキュリティパッチです。「重大な脆弱性の修正を3週間以内に当てられる顧客はほとんどいない」という話を聞き、技術の導入と同時に、変更承認のプロセスまで含めてご支援することが私たちの役割だと改めて感じました。ハンズオンラボなども活用して、これからもどんどん知識を吸収していきます。
VCF 9.1への移行・検証のご相談はお気軽に
vSphere 8のジェネラルサポート終了(2027年10月予定)が近づき、ハードウェアの調達期間も長くなっている今、移行の検討は「早めに始めた方が選択肢が多い」状況です。
Re:Qのインフラ技術部では、今回得た知見も活かしながら、次のようなご相談を承っています。
- VCF 9.1への移行アセスメント(移行方式の選定、前提条件・リスクの洗い出し)
- 既存サーバーの活用やメモリ階層化を含む、コストを抑えた移行計画の立案
- VCF環境の設計・構築・試験、vDefendによるセキュリティ強化の検証
- オンプレミスVCF以外の移行先も含めた比較検討(Oracle Cloud VMware Solution、Oracle Linux KVM、HPE Morpheus VM Essentials など)
「自社の環境はどの移行方式が合っているのか」「まずは何から調べればよいか」といった段階からでも構いません。どうぞお気軽にお問い合わせください。
※本記事は、2026年10月1日~2日に開催されたイベントでの講演内容をもとに執筆しています。ロードマップや計画として紹介された機能は将来の提供を約束するものではなく、変更される可能性があります。製品の仕様・要件は、Broadcomの公式ドキュメントをご確認ください。
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