はじめに
この記事ではOracle Databaseの基本的な構成パターンについて紹介します。
以下の4つの構成について、構成の特徴やそれぞれの違いについて取り上げたいと思います。
- シングル・インスタンス
- RAC(Real Application Clusters)
- RAC One Node
- Restart
Oracle Databaseの構成の種類
それぞれの構成について、以下の表に示します。
シングル・インスタンス構成の特徴
・基本構成
・対象サーバーに、Oracle Databaseをインストールすることで構成できます。
・データベースとリスナーを構成、利用できます。
・Oracle Databaseソフトウェアの機能だけであるため、Grid Infrastructure管理下のASMやVIPは存在しません。
RAC構成の特徴
・アクティブ/アクティブ構成
・複数のサーバーが同じデータベースに対する操作を実行します。(Shared Everything アーキテクチャ)
・可用性
・いずれかのサーバーが障害で動作できない場合でも他のサーバーによってデータベースとしての動作を継続させることができます。
・拡張性
・サーバーを追加することで処理能力を引き上げることができます。(スケールアウト)
・シングル・インスタンス構成と異なり、リスナーはGrid Infrastructureに管理されます。
・Enterprise EditionにRACオプションを組み合わせることで利用できます。(19cでサポート対象外となりましたが、SE RACと呼ばれ、制限付きでStandard Editionでも利用できるRAC構成がありました。)
RAC One Node構成の特徴
・RAC のアーキテクチャに準拠した派生構成(アクティブ/パッシブ構成)
・一つのデータべースに対し動作するインスタンスは一つだけです。
・可用性
・アクティブ系サーバーが障害で動作できない場合はパッシブ系のサーバーでインスタンスを起動させ、データベースとして動作を継続させることができます。(フェイル・オーバー)
・切り替えられる期間はOracle社が定めるポリシーに従う必要があります。
・RACと比べてOne Node固有の設定が含まれます。
・データベース管理方式がポリシー管理に固定
・DBサービス(.svc)構成あり
Restart構成の特徴
・シングル・インスタンス構成をGrid Infrastructureによって保護した構成です。
RAC同様にデータベース領域にASMを利用するようになります。
・可用性
・Grid Infrastructureが提供する高可用性サービスによって、データベース・インスタンスなどのOracleコンポーネントが自動再起動できるようになっています。
・基本的な管理コマンドはRACと同じですが、Grid Infrastructureのクラスタに関する機能は使わない等、少し違いはあります。
構成による比較:インストールの違い
【補足】
・Grid Infrastructure は、Oracle Database よりも上位のバージョンにする必要があります。
・Grid Infrastructure バージョン >= Oracle Database バージョン
・パッチ・セット(RU、PSU)を適用する場合、対象個所は次のようになります。(上図の★部分)
適用忘れのないようにご留意ください。
・シングル・インスタンス: Oracle Database が対象
・RAC、RAC One Node、Restart: Grid Infrastructure と Oracle Database それぞれが対象
最後に
Oracle Databaseの構成パターンについて紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
可用性という面では、アクティブ/アクティブ構成であるRACが一番可用性が高いと言えますが、その分コストもかかります。
RAC One NodeやRestartは常に動作しているインスタンスは一つなので、RACと比較すると可用性はやや落ちますが、その分コストは抑えることができます。そのため、副次的なデータベースとして、災害対策でのレプリケーション先のデータベースなどに使われる場合があります。
Oracle Databaseの構成について、参考にしていただければ幸いです。