お初にお目にかかります、レック・テクノロジー・コンサルティングのエンジニア「佐々木」にございます。
主にOracleの構築/保守/運用に携わっておりますが、
「とりあえずOracleデータベース(以下、Oracle)に接続してから考える」等、感覚的にOracleを扱う習慣が身についてしまっております。
そのため、一旦基礎的な内容を覚えなおすことを目的の一つとし、
僭越ながらコラム執筆者として名を連ねさせて頂きました。
Oracleの情報を把握しようとする際、確認するべき対象は観点により変わります。
多数ある問題切り分けの情報より、今回はアラート・ログにつきまして、以下の通り説明させて頂きます。
・アラート・ログとは?
・アラート・ログに出力される内容は?
・アラート・ログの今後
アラート・ログとは?
アラート・ログは、Oracleが稼動中に出力するログの一つです。
一般的には、Oracleの動作に問題が発生した際に状況把握の第一歩として確認することとなります。
アラート・ログは「alert_<SID>.log」というファイル名で作成され、
「background_dump_dest」初期化パラメータで指定されているパスに配置されています。
SQL> show parameter background_dump_dest
NAME TYPE VALUE
-------------------------- ----------- ------------------------------------------------
background_dump_dest string J:\ORACLE\PRODUCT\10.2.0\ADMIN\ORCL\BDUMP
アラート・ログに出力される内容は?
アラート・ログは、稼動中のさまざまな情報が逐次記録されていきます。
以下、アラート・ログに出力される主な内容です。
-バージョン情報
-エラー番号及びエラーメッセージ
-トレースファイルの出力情報、出力先パス
-Oracleの起動/停止
-デフォルト値以外の設定がされている初期化パラメータ
-CREATE/ALTER/DROP文実行等、管理操作の履歴
-バックグラウンドプロセスの起動
※ただし、SQLの打ち間違いによるもの等、Oracleの稼動に影響がないエラーについては記録されません。
以下、実際のアラート・ログの内容を一部抜粋します。
Fri Feb 17 00:57:39 2012
Starting ORACLE instance (normal)
LICENSE_MAX_SESSION = 0
LICENSE_SESSIONS_WARNING = 0
Picked latch-free SCN scheme 2
Using LOG_ARCHIVE_DEST_10 parameter default value as USE_DB_RECOVERY_FILE_DEST
Autotune of undo retention is turned on.
IMODE=BR
ILAT =18
LICENSE_MAX_USERS = 0
SYS auditing is disabled
ksdpec: called for event 13740 prior to event group initialization
Starting up ORACLE RDBMS Version: 10.2.0.1.0.
System parameters with non-default values:
processes = 150
spfile = J:\ORACLE\PRODUCT\10.2.0\DB_1\DBS\SPFILEORCL.ORA
sga_target = 612368384
control_files = J:\ORACLE\PRODUCT\10.2.0\ORADATA\ORCL\CONTROL01.CTL, J:\ORACLE\PRODUCT\10.2.0\ORADATA\ORCL\CONTROL02.CTL, J:\ORACLE\PRODUCT\10.2.0\ORADATA\ORCL\CONTROL03.CTL
db_block_size = 8192
compatible = 10.2.0.1.0
db_file_multiblock_read_count= 16
db_recovery_file_dest = J:\oracle\product\10.2.0/flash_recovery_area
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アラート・ログの今後
ここまでのアラート・ログにつきましては、実はバージョン「10gR2」までの内容で説明させて頂きました。
11gからはADR(Automatic Diagnostic Repository)機能にて、ログを一括管理するため他のログと併せてアラート・ログの出力仕様も変更されますため、以下に概要を記述致します。
・XML形式での出力
従来のテキスト形式のアラートログに加えて、XML形式のアラートログファイルも出力されます。・出力先の初期化パラメータの変更
diagnostic_dest初期化パラメータで指定したパス以下に、一定のディレクトリ構造が作成され、そこに出力される形となります。
・コマンドラインのツールの追加
ADRCIツールを介してアラートログを参照します。・従来のアラートログの出力先の変更
diagnostic_destで指定したパス以下のtraceディレクトリ内に、従来のテキスト形式のアラート・ログが出力されます。
※なお、XML形式で出力されたアラートログをADRCIツールより参照した場合であっても、出力されるログの内容は10gR2以前と同様となります。
今回のまとめ
・アラート・ログは、Oracleの稼動状況が出力されるログです。
・11g以降は、アラート・ログの出力仕様が変わります。
最後に
Oracleの稼動状況を確認する際に、
「何をおいてもまず見ろ、話はそれからだ」とまで一部で言われるアラート・ログについて書かせて頂きました。
次回は、静的データディクショナリ・ビューについて、です。
以上、宜しくお願い致します。