今回は「今Oracleどうなってるの?」シリーズの10年ぶりの更新となります。
「今Oracleどうなってるの? 情報源その3:動的パフォーマンス・ビュー」執筆は2012年ですので、当時のOracle最新バージョンは11gでした。それから新たなバージョンが続々とリリースされてきておりますが、今回は長期リリースである19cを対象に10年前は無かった、10年前にはお伝え出来なかった動的パフォーマンス・ビューとデータディクショナリ・ビューについてご紹介いたします。
動的パフォーマンス・ビュー、ディクショナリ・ビューとは何か、については前回のブログ記事をご覧ください。
今Oracleどうなってるの? 情報源その2:データ・ディクショナリ
今Oracleどうなってるの? 情報源その3:動的パフォーマンス・ビュー
マルチテナント関連 動的パフォーマンス・ビュー&ディクショナリ・ビュー
10年前の11gには無かった機能としてマルチテナント・アーキテクチャが挙げられます。
マルチテナント自体は12cR1から存在するのですが、20cからはいよいよマルチテナント構成のみのサポートとなります。今後Oracleデータベースを扱う上で必須となる、マルチテナント構成を管理する際に知っていると便利なビューをご紹介いたします。
・v$pdbs
PDBに関する情報を表示します。
・v$containers
PDBの情報に加えてルートに関する情報を表示します。
・v$parameter
11g時点で存在するビューですが、「ISPDB_MODIFIABLE」列が追加されています。
これによりパラメータをPDB内で変更できるかどうかを確認できます。ルートコンテナから初期化パラメータを確認すると、PDBで設定しているパラメータ情報が全て表示されます。その場合「CON_ID」列でPDBを区別することが可能です。
・v$database
こちらも11g時点で存在するビューですが、「CDB」列でデータベースがCDBであるか非CDBであるかを確認できます。また「CON_ID」列でコンテナのID、「CON_DBID」列でPDBのデータベースIDの確認ができます。
・pdb_plug_in_violations
PDBとCDB間の非互換性に関する情報を表示します。
・dba_app_pdb_status
現在のアプリケーション・コンテナ内のすべてのアプリケーションPDBのアプリケーションに関する情報を表示します。このビューを使用すると、どのバージョンのアプリケーションがどのアプリケーションPDBに同期されているかを確認できます。
・dba_app_patches
アプリケーション・コンテナ内のすべてのアプリケーション・パッチを表示します。
監査関連 ディクショナリ・ビュー
Oracle 11gまでは、必須監査、DBA監査、標準監査、FGA監査といった複数の監査機能が混在しておりましたが。そして12cからは新たに統合監査が追加されました。統合監査は機能統合、パフォーマンス向上を目的としたもので20cからはこの統合監査以外は非推奨となります。
統合監査について詳しく知りたい方は以下のブログ記事をご覧ください。
統合監査関連ディクショナリ・ビュー
統合監査関連でよく使うビューをご紹介いたします。
・unified_audit_trail
統合監査が有効化されている場合、監査レコードはこの新しい監査証跡内に移入されます。このビューでは監査証跡から監査レコードを取得することにより、監査レコードを表形式で確認することができます。
・audit_unified_enabled_policies
データベース内で使用可能なすべての監査ポリシーを表示します。
・dba_audit_mgmt_config_params
現在設定されている監査証跡プロパティに関する情報を示します。
標準監査・FGA監査関連ディクショナリ・ビュー
標準監査やFGA監査を使用している本番稼働データベースも昨今多くありますので併せてご紹介いたします。
・dba_stmt_audit_opts
システム全体にわたるユーザー別の現在のシステム監査オプションを表示します。
統合監査が有効化されていない場合のみ使用されます。
・dba_priv_audit_opts
システム全体にわたってユーザー別に監査されている現行のシステム権限を表示します。
統合監査が有効化されていない場合のみ使用されます。
・dba_common_audit_trail
標準およびファイングレイン監査証跡エントリ(XML形式で書き込まれた必須およびSYS監査レコード)をすべて表示します。
・dba_audit_session
CONNECTおよびDISCONNECTについての監査証跡レコードをすべて表示します。
・dba_audit_policies
すべてのファイングレイン監査ポリシーを表示します。
DataGuard関連 動的パフォーマンス・ビュー&ディクショナリ・ビュー
DataGuardは新機能ではありませんが、Oracleの災害対策機能として重要な機能です。
DataGuard構成時に確認すべきビューをご紹介いたします。
・v$standby_log
スタンバイREDOログに関する情報を表示します。
スタンバイREDOログは、オンラインREDOログに類似していますが、プライマリ・データベースからREDOデータを受信しているスタンバイ・データベースでのみ使用されます。
・v$dataguard_stats
スタンバイ・データベース上での問合せに対して、Oracle Data Guardメトリックに関する情報を表示します。
プライマリ・データベース上での問合せに対しては使用できない点には注意が必要です。
・v$managed_standby
Data Guard環境に含まれるスタンバイ・データベースに関連する、一部のOracle Databaseプロセスの最新のステータス情報を表示します。
インスタンス停止後は保持されない点には注意が必要です。
おわりに
バージョンごとに新たな機能が追加されると、それに合わせて動的パフォーマンス・ビュー、データディクショナリ・ビューも追加されていきます。また、ビューのカラムが新しく追加されているということもありますので、必ずバージョンに合ったリファレンスマニュアルを確認するようにしましょう。